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文芸メイン、その他もろもろ

ポケモンGOとポケモンと、子育てに思うこと

娘はちょうどポケモン第一世代と言えるのだろう。

 

私は娘にキャラクター商品を買い与えない主義だったが、ポケモンボードゲームは買い与えた。
兄弟がいないので、そのゲームには毎日のように付き合わされた。
必然的に私も、モンスターを覚えていった。
夫はあまり乗り気ではなく、渋々付き合っていた。
家にお友達が遊びに来たときも、ボードゲームをしていた。
子供同士で勝ち負けを競うとき、些細な事ですぐに喧嘩が始まった。
兄弟喧嘩をしたことがない娘は口では勝てず、いつも我慢ばかりしていた。
でも、それでよかった。
ゲーム遊びは楽しいだけではなく、負けて悔しい思いもするし、揉めて悲しい事もある。
 
それは全て、子供逹に必要な学びであると信じていた。
 
 
 
 
 
「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」を6組の親子で観に行ったのは、小学校低学年の時。
低学年の子には少し長かったのか、一緒に行った子は途中で飽きてしまった。
娘はアニメが大好きなので、食い入るように観ていた。
ミュウとミュウツーの戦いに巻き込まれたサトシが石になってしまう場面で、横に座る娘をチラリと見ると…
 
大号泣!
 
ひゃー…両方の鼻穴からの鼻水と涙でぐっちゃぐちゃ…(>_<)
 
幸い、ピカチュウのこぼした涙のお陰でサトシの体は元に戻り
娘も泣き止んで、笑顔になっていた。
 
妖怪ウォッチ人気に押され、一部のマニアを除いてすっかり下火となったポケモンが、ポケモンGO効果で新たなセンセーションを巻き起こしている。
 
そしてポケモンが引き金となって、辛かった子育て中のいろいろな出来事を思い出した。
 
ポケモンで号泣した娘だったが、小学校の卒業式では泣かなかった。
女子のほとんどが抱き合って大泣きし、男子でさえ目と鼻を赤くしていたのに。
それを見たママ友が、聞こえよがしに言った。
 
「うちの子は泣く子でホッとしたわ。こういう時にも泣かない子だったら可愛げがなくって、何だかガッカリよね。」
 
かなりむかついたが、聞こえなかったフリをした。
私達は子どもをボードゲームのコマのようにして、勝った、負けた、追い抜いたと常に争っていた。
我が子の尻を叩き、時には他所の子を見下して自分の子を優位に立たせたい母親ばかりだった。
この6年間は、今思い出しても吐き気がする。
卒業の日、私はこんな連中とも今日でおさらばだとせいせいしていた。
娘が泣かないのは、雰囲気に流されてもらい泣きをしなかっただけではない。
私と同様に、小学校の友人関係に嫌気がさしていたのだろう。
 
高校受験の頃、反抗期が始まった。
高校生になったら持たせると約束した携帯の、使用ルールで毎日がバトルだった。
高校の3年間は、携帯が原因で最悪な親子関係だった。
娘が中学生の頃は、携帯所持率7割ほどだろうか。
高校で持っていない子は2,3人だと聞いた。
持たせた途端に携帯依存となって一日中携帯を離さず、だらだらとメールをしていた。
受験で燃え尽きて、勉強が全くおろそかになってしまった。
今まで我慢をさせ過ぎたからだろうか?と自問自答した。
けれども中学で持たせて同じように携帯依存になっていたら、高校受験でも失敗したと思う。
 
3年前、中3の息子がいる同僚に相談された。
まだ携帯を持っていないのはクラスで同僚の子だけなのだが、絶賛反抗期中で家庭だけでなく学校でも荒れ、非行に走っている。
「こんな状況なので絶対に持たせたくないが、毎日携帯の事で揉めて困っている」と言う相談だった。
「ルールを決めて与えてもどうせ守らないのは目に見えているし、ただでさえダダ下がりの成績なのに携帯ゲーム三昧になったら高校に入れなくなってしまう」と、かなり切実だった。
 
私は娘に「高校生になったら」という約束通り、入学と同時に与えたが、果たしてそれで良かったと言えるかどうか解らない。
娘の頃よりも中学生の携帯所持率は上がっているので、高校まで我慢させるのは厳し過ぎるだろう。
LINEが流行り始めていて、そこに自分だけが入れない状況はキツイ。
携帯を持っていないのが酷い反抗の理由のひとつなら、携帯を持たせたら少しは治まるのかも知れない。
等と話し
「この件に関して私は失敗例なので、力になれなくてゴメンね」と詫びた。
 
同僚は中3の2学期に携帯を渡したが反抗は治まらず、高校受験も不本意な結果に終わった。
 
 
ポケモンGOのムーブメントは、当時の私達の悩みなど吹き飛ばすほど、スマホ所持の低年齢化を促進するかも知れない。
大人も、大学生も、高校生も、皆がスマホを持って街を歩き回っている。
小中学生に「スマホはまだダメ!」と説得するのに、何を理由にしたらいいか解らない。
周りが皆ポケモンGOに夢中になる中、スマホのない子は何をしていればよいのだろうか。
ゲームボーイはダメ!
ファミコンはダメ!
と言って、それらに触れさせなかった私でも、今が子育て中だったなら娘にスマホを渡してしまうかも知れない。
 
 
真っ先にポケモンGOを始めた夫は今、レベル14。
「いい大人がバッカじゃないの?」と、白い目で見ていた娘がレベル10らしい。
「やり始めたら絶対にハマるからやらない!」と宣言したのに、一昨日から始めた私はレベル4になった。
 
キモイ、ウザいと諍いばかりしていた父娘が、その日集めたモンスターの話に興じる日が来るとは夢にも思わなかった。
 
今日は私も外に出かけて、レベルを上げて来よう。
車にぶつからないように気を付けながら、たくさん歩こう。