早川英男『金融政策の「誤解」』
ある方から、この本の中でhamachanの議論がかなり引用されていると教えられていたので、たまたまそのことを思い出し本屋で手に取りました。
http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766423563/
▼緩和一辺倒の政策手段から、いかに脱却するか
黒田東彦日銀総裁が遂行する「異次元緩和」政策は、目標に掲げたインフレ率2%の達成・維持と経済停滞からの脱却に至らないまま、「マイナス金利」という奥の手を導入した。この先の政策運営に暗雲が漂い始めているなか、日銀きっての論客と言われた筆者が、日銀を退職後、ついに沈黙を破って持論を開陳する注目の書!
日銀は何ができて、何ができないのか ――
という風に、基本的にはいわゆるリフレ派批判の本です。例の「りふれは」の汚らしい怪しげな振る舞いを批判した本ではなく、まっとうな「リフレ派」の議論を経済学の土俵で批判している本ですのでお間違えのないよう。
なので、通常は私とはフィールドが違うので、私が本屋で手に取ることはない種類の本なのですが、ある方から言われていたのを思いだしてぱらぱらとめくってみると、「第4章 デフレ・マインドとの闘い」の「2 「日本的雇用」とデフレ・マインド」の中に、「メンバーシップ型雇用の呪縛」という項があって、まさに私の議論が引用されておりました。
端的に言うと、人手不足になっても労働組合が賃上げに及び腰なのはメンバーシップ型雇用の呪縛によるものだという議論です。
振り返ってみると、本ブログでも過去に何回か早川さんの書いたものを紹介していました。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/post-2ce5.html (富士通総研早川英男氏の「今こそ「日本的雇用」を変えよう」)
読んでいくと、どこかで見たような記述がいっぱい出てきます。
というか、こういうのを見ると金子良事さんあたりはまた「hamachanの影響力おそるべし」とか云ってからかうんでしょうけど。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/34-7fa3.html (富士通総研早川英男氏の「今こそ「日本的雇用」を変えよう」(3)(4))
| 固定リンク
|
コメント
早川氏の先エントリ「今こそ「日本的雇用」を変えよう」エッセイ等々政策レファレンス・ポイントとなるものを書かれますね。
たとえば遺伝子とゲノムを同じと思われておられる本やその影響下にある諸氏が多く見受けられますが、遺伝子はミクロ、ゲノムはそれより大きなくくりのいわばマクロです。
何を言いたいかといえば、還元されたミクロ基礎づけによりマクロ説明とするオッカム方法論とは違い、社会問題はその構成員一人ひとりで属性が同じでもそれをそのままマクロに転換してしまっても、毎度でウンザリされるでしょうが、”見えるものも見えないものにしてしまう”と同じ轍を踏む、そして新たな問題を生んでしまう恒常性をもつものとおもわれます。したがって各関連セクター(金融も雇用も問題ありで、こう変えるのだ!と社会提言されるには)を一気に相対的マクロ化したロードマップ提案が不可欠ではとも思っております。
はまちゃん先生のシグナルが早川さんに届いたということは、単体ミクロの息吹がシンクロすればマクロフィールドでも現象化する可能性を実証したこととなり、あとはそれをいかに実社会においての総合仮説を期待したいものです。本を読まないことには早川さんのセクター解釈がどうかはわかりませんが。
ちなみに日銀批判の早川エッセイは3法則のマジシャンI氏もご推奨でした。
投稿: kohchan | 2016年7月27日 (水) 08時03分