第二次世界大戦時の食風景を描いた『戦争めし』。
昨年レビューを書かせていただいたところ多くの反響をいただいたのですが、ついに待望の2巻が発売されましたよ!
さっそく読んでみたのですが・・・
この作品、第1巻よりもすごい!!
第1巻はある意味ほっこりする内容
「欲しがりません勝つまでは」「ぜいたくは敵だ!」
そんなストイックな標語を歴史の教科書でよく見かけるので、兵隊さんはてっきりマトモなものなんて食べていなかったのかぁと思っていませんでしたか?
いえいえ、実はそれは戦争末期のこと。
実は、戦争末期まで、日本軍の兵隊たちは戦地でも飯盒(はんごう)でお米を焚いて、温かい食事をとっていたんです。帝国軍人は意外にもグルメだったんですね~。
第1巻には、宇都宮が餃子の街になったエピソード、江戸前寿司がいまの大きさになった理由、ビールが日本に広まるきっかけに戦争があったことなど、うんちくも満載。
戦時中の食文化なんて全然知らなかった私にとっては本当に勉強になるいいマンガでした。
なにより、死を覚悟した兵隊さんたちが、最後の食事になるかもしれない、と思って食事を口にするときの表情。
空腹は最高の調味料といいますが、明日死んでしまうかもしれないという恐怖が、ひょっとしたら空腹以上の調味料になりえたのかもしれません。
第2巻は戦争の辛さ、厳しさを教えてくれる、悲しい作品
1巻は無印の『戦争めし』(『戦争めし 1』ではなかったということ)だったので、ひょっとしたら当初は1巻だけ出す計画だったのかもしれません。
しかしながら、大きな反響を得て、ついに待望の2巻が・・・!
でも、たくさんマンガを読んでいると、そういう作品って結構二番煎じだったりして、あとでガッカリすることもあります。
やはり1巻目に全力投球するからか、2巻以降には1巻目で感じたパワーというか熱量がないことが多いのです。
その点、今回の2巻はもう衝撃的でした。
仲間が死にゆく激戦地が舞台となるエピソードが多く、1巻よりもより死の淵での食風景が描かれていたからです。
たとえば、多くの犠牲者を出し、歴史的敗北を喫した「インパール作戦」のお話。
同じ小隊に属する友人が、死に際におでんを食べたがったものの、とてもおでんとは言えないような代物が出来上がった話・・・。
実はこのエピソードは、作者の魚乃目三太さんが『戦争めし』のコミックス発売記念で飲んでいたときに聞いた実話なのだとか。
そう聞くと余計に戦地の悲惨さやそこにある友情が感じられて・・・涙なしには読めません。
もちろん、黒糖焼酎の誕生秘話や戦艦大和でオムライスに欠かせなかった「ある食材」など、2巻もうんちく満載です。
「マンガ」という誰にでもわかりやすい形で、戦争の経験を伝えていく。
戦後70年が経ち、当時の生の声が少なくなっている今だからこそ、魚乃目三太さんの『戦争めし』シリーズはますます価値が高まっているように感じます。
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