
交通事故は、いつ誰の身にも振りかかる可能性があるトラブルです。
ご覧のマンガのように、交差点で信号待ちしている時に、突然猛スピードで後ろから車が追突してくる可能性があります。また、車の運転中だけでなく、通勤、通学中に歩道を歩いている際に事故に巻き込まれることだってあります。
もし、不幸にも本人、家族、友人などが事故の被害者になった時に思い出してほしいのが「自動車保険の弁護士費用特約」です。
車を運転する人の多くは自動車保険(任意保険)に加入していますが、この保険の中に「弁護士費用特約」が含まれていれば、事故で被害者になった時に、相手方との損害賠償交渉時の弁護士費用が保険でまかなわれ実質0円になります。しかも、本人が特約に加入していなくても家族の誰かが加入していれば被害者になった際に利用できるのです。
この弁護士費用特約は、販売開始後から加入者は増え続けておりすでに1430万人を超えていますが、実際に利用した人は0.05%しかいないと言われています。(2012年6月1日産経新聞より)これは、保険を契約した本人が「特約が付いていることを知らない」、「特約が付いていることを忘れている」、「正しい活用方法を知らない」としか考えられません。
特約を利用できる権利があるのに使わないのはもったいない話しです。ここでは、弁護士費用特約の仕組みや利用方法などについて解説します。
自動車保険「弁護士費用特約」って何?

弁護士費用特約とは、日本弁護士連合会が主要な損害保険会社と協定を結んで販売している保険商品です。自動車保険の特約(オプション)として、また単独の保険としても販売されています。
この商品は、「交通事故の被害者相談を増やしたい」という日本弁護士連合会と「自動車保険商品の単価をアップさせたい」という損害保険会社の利害が一致して生まれたものです。こう聞くと本当にメリットがある保険なのかと疑問に持つ方も多いと思いますが、この「弁護士費用特約」は保険商品としては非常に優れています。
具体的な補償としては、事故被害を受けた際に弁護士費用が最大300万円まで保険でまかなわれます。また、被害者本人が特約に加入していなくても親が加入していれば利用できます。しかも、保険の費用は年間約3,000円と決して高くありません。
交通事故は全国で年間約57万件も発生しており、いつ誰が何時被害者になるか分かりません。もしもの備えとして加入する価値が高い保険商品ということが言えます。
弁護士費用特約で何ができる
交通事故の人身事故で被害者になると、治療費、物損補償、慰謝料(後遺症、休業損害、心労など)などの損害賠償額を確定させるために、加害者側の保険会社との交渉手続きが必要になります。
この弁護士費用特約を利用すれば、損害賠償交渉に必要な「法律相談」、「示談交渉」、「事務手続き」などを弁護士がすべておこなってくれます。
【弁護士費用特約に含まれる弁護士の対応業務】
- 弁護士に関する費用(法律相談料、着手金・報酬金、実費など)
- 裁判所へおさめる費用(仲裁、調停費用、実費など)
- 鑑定に関する費用(裁判に必要な鑑定書の作成)
- 証人に関する費用(裁判に必要な証人尋問)
また、大きく6つのメリットがありますので見ていきましょう。
弁護士費用特約メリット① 弁護士費用が実質0円になる

交通事故の被害者になって、ケガや後遺症で苦しんでいるにも関わらず費用の支払いに不安を感じて弁護士への依頼を躊躇する人がいます。しかし、この弁護士費用特約は300万円以内なら弁護士費用が保険でカバーされるため、実質0円で弁護士に依頼することができます。
この300万円という金額ですが、一般的な交通事故のケースでは、訴訟を含めても弁護士費用は100万円以内に収まることがほとんどです。弁護士費用が300万円を超えるケースは賠償額が1500万円以上となるような重大な事故の場合のみですので、自腹で弁護士費用を支払うことはめったにありません。
弁護士費用特約メリット② 自転車事故、歩行中の事故など対象範囲が広い
弁護士費用特約は車どうしの事故だけでなくさまざまな事故被害が対象になります。例えば、歩行中や自転車走行中の事故も対象範囲です。
本人あるいは家族が以下の様な事故に巻き込まれたら「弁護士費用特約」が利用できるということを覚えておいて欲しいと思います。
【弁護士費用特約の対象範囲】
- 自動車事故の被害:後続車に追突された、対向車に衝突された
- 道路歩行中の被害:自転車に衝突された、自動車が歩道に突っ込んできた
- 自転車運転中の被害:車に追突された、別な自転車に衝突された、急に飛び出してきた人を避けて転倒した
- 盗難被害:自動車、バイクの盗難で捕まった犯人に損害賠償請求したい
※注)小規模の物損事故でも弁護士費用特約は利用できます。しかし、物損事故のみのサポートは対応不可の弁護士もいます。
弁護士費用特約メリット③ 家族の誰かが加入していたら利用できる

被害者本人が「自動車保険に加入していなかった」、「加入している自動車保険に弁護士費用特約が付いてなかった」という場合でも、弁護士費用特約では以下の人が加入していた際には利用できます。
①記名被保険者:被害者本人の事を指します。事故時の契約車両に使用者として保険証券に弁護士費用特約が付いていれば利用できます。
②被保険者の配偶者:被害者の配偶者が加入している保険に弁護士費用特約が付いていれば利用できます。
③被保険者またはその配偶者の同居する親族:被害者が同居している親族あるいはその配偶者が加入する保険に弁護士費用特約が付いていれば利用できます。(同居していなくても利用できます)
④被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子:被害者が未婚で、その親が加入する保険に弁護士費用特約が付いていれば利用できます。(別居していなくても可能です)
⑤同乗者:同乗者がおのおの弁護士費用特約に加入していた場合には、それぞれ請求が可能です。
※注)保険商品ですので契約内容、取り決めなど毎年変更する可能性もありますので、利用する際には必ず弁護士あるいは保険会社に確認しましょう。
弁護士費用特約メリット④ 保険の等級に影響はない
自動車保険は1等級から20等級まで設定されており、20等級がもっとも割引率が高くなっています。初めて契約したら通常は6,7等級に設定されますが、毎年事故がなければ8等級、9等級と上がり続け保険料の割引率も高くなります。
そのため、「弁護士費用特約を使うと保険の等級が下がって保険料が上がるのでは?」と心配する方もいます。しかし、弁護士費用特約を使っても事故にカウントされることは無く等級には影響ありません。
弁護士費用特約メリット⑤ 過失があっても利用できる

「自分にも過失があったので弁護士費用特約は使うことができない…」、「自分も悪いんだから保険を使うのは無理だろう…」と早合点する方がいますが、被害者に事故の過失があった場合でも弁護士費用特約は問題無く使うことができます。
交通事故では、過失割合により損害賠償請求額は大きく変わりますが、そもそも相手方の保険会社が言う過失割合が正しいとは限りません。保険会社が提示する過失割合含めた示談提示に対して、それが適正かどうかを再調査・検証して交渉するのが弁護士の役割です。
弁護士費用特約メリット⑥ 弁護士は自由に選べる
弁護士特約を使う際には弁護士(法律事務所)は、ご自身で任意に選ぶことがきでます。ただし、保険会社の中には弁護士を推薦してくるケースが稀にあります。しかし、必ずしも保険会社の推薦弁護士を使う必要はありません。
そのような弁護士は保険会社側の立場に立つ可能性が高いので、ご自身で選んで弁護士から保険会社に連絡してもらうかたちが良いでしょう。また、弁護士選びの際には交通事故に詳しいかどうかを必ず確認しなくてはなりません。
また、弁護士に相談するタイミングは保険会社と示談する前ならいつでも可能です。ただ、特約には法律相談も含まれますので、せっかくなら事故後早めの相談がおすすめです。
弁護士費用特約のデメリットってある?
これまで弁護士費用特約はメリットが多い保険商品であることを解説しましたが、一方でデメリットは非常に少なくなっています。敢えてあげるとなると以下の5点が考えられます。
- 加害者は対象外
- 年間3000円程の保険料がかかる。(これを高いと見るか)
- 被害者と家族が弁護士費用特約に加入していれば補償が重複となる。(どちらかの特約しか使えず一方の保険料は無駄となる)
- 重大事故は弁護士費用が300万円を超える場合があり本人負担が必要になる。(350万円の弁護士費用がかかったら、50万円は本人負担)
- 物損事故のみは対応不可の弁護士がいる
これらのデメリットを整理すると、そもそも弁護士費用特約は加害者は適用外の保険ですので利用できないのはやむを得ません。また、保険料は年間約3000円ですので他の保険と較べても格安と言えます。ただし家族で重複加入は費用が無駄になりますので、そこは家族間で加入者を誰にするか明確にした方が良いでしょう。
また、本人負担ですが複雑な事故や重大な事故の場合には、調停、訴訟など含め弁護士のサポート期間も長くなるため弁護士費用が300万円を超えて本人負担が発生する場合があります。しかし、仮に350万円の弁護士費用がかかったとしても300万円は確実に保険でカバーされますので本人負担は50万円と少なくなります。
もう一つ物損事故のみのケースですが、弁護士の中には交通事故事件は人身事故しか扱わない弁護士もいます。物損事故に関しては大事故でなければ対応しない弁護士もいますので、小規模の物損事故に対応してくれる弁護士を探す必要はでてきます。これは多少手間になるかもしれません。
被害者が弁護士費用特約が使えないケース

弁護士費用特約は、運転時に重大な過失が認められれば適用されない場合があります。また、本人の過失だけでなく天災や戦争などに起因した事故も同じく適用不可となります。
【運転時の過失】
- 飲酒運転
- 薬物使用
- 無免許運転
- 妊娠中(出産、早産、流産)
- 暴力行為、自殺行為、犯罪行為 ...etc
【さまざまな外的要因】
- 天災(地震、台風)
- 戦争、革命、暴動(テロ行為) ...etc
*保険会社により「重要事項」、「約款」などは若干違いがありますので確認してみましょう。
弁護士特約の加入保険会社
日弁連と協定を結ぶ保険会社一覧は以下のようになります。(2015年2月現在)
- あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
- エース損害保険株式会社
- au損害保険株式会社
- 共栄火災海上保険k株式会社
- 全国共済農業協同組合連合会
- 全国自動車共済協同組合連合会
- ソニー損害保険株式会社
- 損害保険ジャパン日本興亜株式会社
- そんぽ24損害保険株式会社
- 富士火災海上保険株式会社
- プリベント少額短期保険株式会社
- 三井住友海上火災保険会社
- 三井ダイレクト損害保険株式会社
*保険会社の協定状況は変わる場合があります。もしもの際を考え、ご自身が加入する保険、ご家族が加入する保険に弁護士費用特約の有無を保険会社に確認してみましょう。
弁護士に交通事故を依頼するメリット

そもそも、交通事故の被害者が弁護士に相談する必要性やメリットがよく分からないという方もいらっしゃいます。
交通事故の人身事故では、被害者は保険会社(加害者)と過失割合、慰謝料、後遺障害、損害賠償額を決めるための交渉が必要になります。しかし、保険会社は営利企業であり保険金を支払う側ですので「損害賠償金を少なくしたい」、「治療費を少なくしたい」と考えます。
そのため示談交渉では以下のようなケースで被害者と保険会社の間でトラブルが頻繁に起こります。
【トラブル例】
- 保険会社(加害者)の話しが二転三転する
- 保険会社が加害者の過失を認めない
- 後遺症があるのに保険会社から治療の打ち切りを通告された
- 保険会社から早期に示談するよう求められた
- 保険会社の提示する賠償額に納得できない ...etc
保険会社の担当者は毎日いろんなケースの示談を扱う交渉のプロです。保険・事故・法律の知識が無い一般の人が交渉しても勝ち目はありません。
そのため、被害者側も交通事故に詳しい専門家を代理人として立てることが必要です。もしもご自身が望む損害賠償請求をしたいなら弁護士を代理人にすることが最も適切な方法なのです。
弁護士に依頼すれば保険会社との煩わしい交渉を自分でおこなう必要がなくなります。また、面倒な事務手続きもすべて弁護士が対応します。しかも、過失割合の交渉や後遺障害認定サポートなどにより最終的な損害賠償額が2倍、3倍になることもあります。
他にも弁護士に依頼するメリットはたくさんあります。詳しくはこちらをご参照下さい。
交通事故に強い弁護士の探し方と相談すべき5つの理由
まとめ
弁護士費用特約についてご説明しましたが、日常的に車を運転する人なら必ず入っておきたい保険ということがご理解いただけたかと思います。
また、冒頭でも伝えしましたが、弁護士費用特約の大きな問題点の一つに、いざ事故に遭っても被害者が「弁護士費用特約に加入していることを知らない」、「加入したことを忘れている」、「正しい活用法を知らない」というケースが多く見られることです。毎年「特約費用」を払っているのにこれは非常にもったいない話しです。
この記事を読まれた方は、ご自身の自動車保険、家族が加入する自動車保険に弁護士費用特約が付いているか確認してはいかがでしょうか。
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