韓国外相の「ニーハオ」に無反応、国内向けに強硬姿勢を演出する中国外相

 取材陣が見守る中、会談場所に到着した韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相は中国語で「ニーハオ、ニーハオ」とあいさつしたが、王外相は無表情のまま握手だけして着席した。続いて王外相は韓国への終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備について、「信頼を損ねる」と厳しい言葉で非難した。

 王外相は「韓国が韓中関係を守るためにどんな実質的行動を取るか見守りたい」と述べ、事実上THAADの配備撤回を要求した。通訳を介し、短く区切って発言する慣例も無視した。

 韓国側代表団からは慌てた表情が見て取れた。尹外相の発言に対し、王外相は手を横に振ったり、あごに手を当てるなど外交的な礼節を欠くような態度まで見せ、露骨な不満を表明した。中国側は尹外相の発言が終わる前に取材陣を追い出した。外交筋によれば、記者団が外に出ると、王外相は硬かった表情を多少和らげ、それまでの態度がうそだったかのように、両国の関心事について話し合われたという。

 外交関係者は、24日から25日にかけての中国の動きは細かく計算されたメディア向けのプレーだと受け止めている。外交関係者は「韓国メディアに怒った中国』を見せるための演出された行動のようだった。『取材の壁』を低くしたこともそれと関係があるのではないか」と話した。実際に王外相は北朝鮮の李外相を会談場所の外で出迎えたが、会談では「韓半島の非核化」というこれまでの立場を堅持した。これに対し、王外相は韓中外相会談で記者団に公開された場面では「怒りの表情」を見せたが、記者団が部屋から出ると、表情を緩めたという。

 中国が北朝鮮と韓国を相手に「パフォーマンス外交」を繰り広げた理由は2つある。まず、南シナ海問題で米中の対立が高まる中、韓国が米国に傾くことを防ぐ意図とみられる。また、北京の外交筋は「最近の中国外交はTHAAD以外にも南シナ海の仲裁で敗れたことで、民族主義の傾向が強い国民の非難にさらされている。中国外交当局が韓国を面罵(めんば)したのは、制裁というよりは中国の国内世論を意識した『ガス抜き外交』あるいはメンツを守る狙いと見るべきだ」と語った。

ビエンチャン=李竜洙(イ・ヨンス)記者
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