ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
47原則
【第7回】 2016年7月27日
著者・コラム紹介バックナンバー
服部周作

多様な業務のなかでやる気が出る仕事を知ると
日々のストレスをうまくコントロールできる

【仕事ができる人の原則15】活力源となる仕事を把握する

私たちが思っている以上に、仕事上のちょっとした工夫が、成果や評価に大きな差をうんでいた?!世界一のコンサルティングファームで世界7ヵ国のビジネスに携わった著者が、社内外の“できる人”たちの仕事の鉄則をまとめた翻訳書『47原則 世界で一番仕事ができる人たちはどこで差をつけているのか?』(原著タイトル“THE McKINSEY EDGE”)より、今日からでも役立つ成功原則の一部を紹介していきます。
今日のお題は「活力源となる仕事を把握する」。あふれるほどの業務のなかで、あなたがやる気を感じる仕事は何ですか?それと、やりたくない仕事との業務量を7対3にバランスさせることで、ストレス回復のスイッチになるのです!

 あなたの仕事量には、日によって大きくばらつきがあるはずです。非常にストレスのたまる忙しい日もあるでしょう。こういう日は、自分で決めたスケジュール通りに仕事をこなすのは不可能で、手あたり次第に仕事を処理し、立て続けに入っている会議に追い立てられるように向かいます。その日の予定に身を任せた結果、精根尽き果ててしまいます。

 ちょっと考えてみると、心身のエネルギーを最も消耗させるのは、自分でコントロールできずに振り回されることから生じるストレスではないでしょうか。成功するリーダー予備軍と今ひとつ精彩に欠ける人たちとを分けるのは、たったひとつの哲学です。忙しいときにエネルギーを回復し、ストレスを軽減するために大切なものは何か、自分なりのスイッチを知っていることが肝心なのです。

我ながらやる気がみなぎる仕事と、ゲンナリする仕事はどのようなものか、把握しておくのが重要だ。その比率が7対3になるようバランスしたスケジュールを組めればストレスをコントロールできる!

 例えば、人と話すことで特に元気が出るなら、部屋にこもってパワーポイントなどプレゼン準備をしたり、エクセルのモデルを作ったりするだけで1日が終わってしまうことのないように心がけましょう。同様に、静かな時間が1日数時間あると、あなたやチームが波に乗れるなら、それをどうにか捻出しましょう。

 同時に、エネルギーを消耗する対象が何なのかも把握しておきましょう。私の場合、細かな情報更新を頻繁に行うこと、リスト作成、あちこち出かけて小さな用事を済ませること、スケジュール作成、後方支援業務などでエネルギーを消耗します。したがって、こうした消耗する作業をすべて同じ日にこなそうとすると、エネルギーを回復するチャンスがないので、できるだけ集中しないよう工夫しています。

7対3ルールで仕事を調整しよう

 このように、いろいろな仕事があるなかで、自分が好きなこと、エネルギーを回復してくれるものと、嫌いなこと、エネルギーを消耗しストレスを高めるものを、簡単なリストにまとめてみてください。エネルギーの源を知ることは、心の健康管理の一環です。

 経験則として、7対3ルールを覚えておくとよいでしょう。1週間を通じて、エネルギーを与えてくれる仕事と、エネルギーを消耗する仕事の比率が、健全な7対3の状態になるように心がけるのです。

 次に、翌週への備えとして、現状のスケジュールを検討し、エネルギーの源になる活動を追加してバランスを是正してみてください。ほとんど直感的にわかるはずです。重要なのは、惜しみなくエネルギーの補充に努めることです。身体と同じように、心もいたわりましょう。

 どういうわけか、現代の仕事の世界では一見華やかそうな会議ばかりで1日が埋め尽くされていることを忙しさの指標とする、誤った傾向があります。仕事でエネルギーを回復しストレスを軽減するために効果的な方法は、自分のためのまとまった時間を確保することです。半日でも1日でも他のことを遮断して、じっくり考える時間をとりましょう。この時間を利用して、目の前の一番緊急の問題を処理したり、学習の目標に集中して取り組むのです。

時間を捻出するため仕事を4分類しよう

 ある先輩は、毎週水曜日のスケジュールを空けていました。この時間が確保できていると思うと、重要な仕事に集中する時間が足りなくなる!などと心配せずに済むのだそうです。ほかの人たちからの期待との兼ね合いについて尋ねたところ、「自分の時間を確保することで、マイナス面よりもプラス面のほうがはるかに大きいのだから、周りの顔色を伺うのではなく、迷わず実行することが肝心だよ」という返事が返ってきました。

 そんなふうにまとまった時間を捻出するためのさらに具体的なアドバイスとしては、多くの仕事を処理するための単純なルールとして「削除(Delete)、委任(Delegate)、簡素化(De-spec)、先送り(Defer)」に目下の仕事を分類することだそうです。

 簡素化(De-spec)とは、複雑な仕事のすぐ次のステップを捉えて、取り組みやすくすることです。例えば、「来月のコンファレンスの計画を立てる」ではなく、「先方と会って議題を作成する」と捉え直しましょう。

 また、成功するリーダーは問題やストレスを仕事に“委ねる”ことに長けています。あなたもこれに倣いましょう。

 仕事で直接かかるストレスの解消法として、一番効果的だと多くの人が考えるのは、休暇に出かけたり、問題から距離を置く「先送り(Defer)」でしょう。確かに、問題を大局的に把握できるようになりますが、長期的に解決することにはなりません。この点をよく認識し、あなたにとって仕事のストレスや疲労を軽減することに直に役立つ、本当の活動に真摯に取り組むことが肝要です。

スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
1秒で「気がきく人」がうまくいく

1秒で「気がきく人」がうまくいく

松澤萬紀 著

定価(税込):本体1,400円+税   発行年月:2016年7月

<内容紹介>
客室乗務員12年。500万人のお客様から学んだ気がきく人の習慣。テレビ、ラジオ、新聞など、メディアでも活躍中! 地球370周分のフライトをする中で出会った「1秒」で好かれる人々。彼らがしていたのは、難しいことではありません。誰でもできる「38の習慣」で、人生は180度好転します!

本を購入する
書籍編集者募集中!
(POSデータ調べ、7/10~7/16)


注目のトピックスPR


服部周作(Shu Hattori)

経営コンサルタント。カナダ・マギル大学商学部卒業、政府奨学生として国立台湾大学卒業(経営学修士)。マッキンゼー・アンド・カンパニーにて、アジア、北米、ヨーロッパなど7か国における先端技術産業、ハイテク産業、メディア産業分野のプロジェクトに従事し、2015年独立。日中を市場とする求人ポータルサイト運営など、ベンチャー設立経験も複数有する。日本語と英語を母国語とし、中国語も堪能。初の著書として、米国にて2015年11月に『THE McKINSEY EDGE』(McGraw-Hill Education社)を刊行し、本書は本人による邦訳版である。
 


47原則

マニュアルにない小さな工夫が、成果や評価に大きな差を生む!著者が世界一のコンサルティングファームで学んだ究極の仕事術を紹介していきます。著者が世界7か国のビジネスに携わるなかで随時メモしてきた手法の数々を踏まえ、尊敬する社内外のリーダーたち約20人にヒアリングして厳選した成功原則は、話を聞いたリーダーたち自身も「20代のときから知っておきたかった!」と実感するポイントばかり。“仕事ができる”リーダーたちが日ごろさりげなくやっている日々の習慣やマインドセットなど世界最強の「仕事の基本」、今日から実践できます!

「47原則」

⇒バックナンバー一覧