障害を抱える老若男女が静かに暮らす施設で、身の震えるような事件がおきた…[続きを読む]
ロッキード事件で田中角栄元首相が逮捕されて、きょう27日でちょうど40…
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ロッキード事件で田中角栄元首相が逮捕されて、きょう27日でちょうど40年になる。
刑事被告人になっても大派閥を率い、首相の座をも左右した田中支配時代と、派閥が力を失い、対抗勢力の不在を嘆く声がしきりの首相一強の現在と。永田町の光景は様変わりしたが、変わらないものがある。
政治とカネをめぐる病だ。
この間、衆参両院の選挙制度が改まり、政治資金規正法の見直しや連座制の強化など、それなりの手だてが講じられてはきた。だが法律をつくる政治家自身の手によって抜け道もしっかり用意され、疑惑の根絶と信頼の回復にはほど遠い。
最近も、業者との不透明な関係を追及され、甘利明氏が経済再生担当相を辞任した。舛添要一氏が政治資金の使途の疑念にこたえられないまま、都庁を去ったのは1カ月前のことだ。
にもかかわらず政治の側、とりわけ自民党の動きは鈍い。
先の参院選で、公明、民進、共産、おおさか維新などの各党は、主張する内容や濃淡に違いはあったものの、秘書に対する政治家の監督責任の強化、政治資金や国から支払われる活動経費の透明化、企業・団体献金の禁止など、浄化へのとり組みをそれぞれ公約にかかげた。
ところが甘利氏が所属し、前回の都知事選で舛添氏をかついだ自民党は、政策集の中でこの問題にいっさい触れなかった。
こうした姿勢が、ふつうの人と政治との距離を広げ、不信の根を深くする。選挙には勝ったが、「身内の醜聞にも正面から向き合わない」との評価は、この先ついてまわるだろう。
公明をふくむ他の政党は、与野党の垣根をこえて合意点を探り、自民党が重い腰を上げざるを得ない状況をつくりだしてほしい。まずとり組むべきは、すべてのカネの流れをガラス張りにして、市民が常に点検し評価できる環境を整えることだ。
田中氏に関してはもう一つ、忘れてはならない汚点がある。
逮捕の1年半前、いわゆる金脈問題がとどめとなって首相を辞した際、氏は「いずれ真実を明らかにして、国民の理解を得てまいりたい」と表明した。
しかし約束はついに果たされなかった。そしていま、甘利、舛添両氏とも、自らの疑惑についてだんまりを決めこみ、批判の嵐が過ぎるのを待つ。
右肩上がりだった時代への郷愁も手伝ってか、田中氏再評価の動きがさかんだ。だがカネをめぐる黒い体質と国民に対する不実は、40年を経てなお、清算されていない負の遺産である。
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