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障害者施設襲撃 痛ましさに言葉を失う

 相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で働いていた26歳の元職員の男が夜中に施設を襲撃し、ナイフで入所者を次々と刺し、19人が死亡し、26人が重軽傷を負った。

     刃物による殺傷事件の犠牲者数では戦後最悪だ。

     数十分の間に多くの人が被害に遭った。無差別だったとみられる。被害者は重度の障害を抱え介護が必要な人たちだ。夜間でもあり無防備、無抵抗だっただろう。あまりに残忍で冷酷というほかない。

     被害者の感じた恐ろしさ、突然命を絶たれた無念さを察すると、痛ましさに言葉を失う。

     男は自ら警察に出頭し、逮捕された。「障害者がいなくなればいいと思った」と供述しているという。

     同園は神奈川県が設置し、社会福祉法人「かながわ共同会」が運営している。知的障害者ら149人が入所していた。

     男はハンマーでガラスを割って侵入したようだ。事件当時、夜勤職員8人と当直の非常勤警備員がいた。居室は原則無施錠だったというが、防犯体制は十分だっただろうか。

     障害者が多数入所している以上、いざという時に職員を含めた周辺が支え助ける仕組みは不可欠だ。

     犯行の態様は十分に分かっていないが、男に結束バンドで縛られた職員もいたという。周到な計画性がうかがわれる。事件当時の状況をしっかり調べ、今後の対応に生かさなければならない。

     男は今年2月、衆院議長公邸を訪れ、「障害者総勢470名を抹殺することができます。職員の少ない夜勤に決行致します」などと書かれた手紙を渡そうとしていた。

     男はその直後、施設職員にも「重度障害者を殺す」などと話し、警察の事情聴取を受けていた。

     結局、医師の診断の上、行政命令で入院させる措置入院とされ、施設を退職していた。措置入院の際は大麻の陽性反応も出たという。ただし、3月初旬には入院の必要性がなくなったと診断され、退院していた。

     退院させた病院の判断は適切だったのか。入院のきっかけとなった犯行予告も踏まえ、男の退院後も警察や施設は十分に連携し対処していたのか。検証が欠かせない。

     動機については、軽々に判断すべきではない。男の言い分をうのみにすることもできないだろう。捜査や今後行われるであろう精神鑑定を通じて事件に至る経緯を解きほぐしていくしかあるまい。

     事件を受け、塩崎恭久厚生労働相は、職員2人を現地に派遣し、再発防止策を検討すると述べた。この際、障害者施設の運営上の課題を十分に点検すべきだ。

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