ビックマック指数についてまとめ
為替レートというのは各国の通貨の比率ですので、各国の経済的な力関係から敵失な比率(為替レート)を見出そうという考え方があります。
そうしたものの一つに「ビックマック指数」というものがあります。
ビックマック指数についてまとめます。
ビックマック指数とは
ビックマック指数とは、ビックマックの値段で各国の物価水準を推し量ろうとするものです。ビックマックは世界各国で(基本的に)同じものなので、比較対象とするのに最適ってわけですね。
同じもの(ビックマック)が、違う値段である→物価水準が違う
ってイメージです。
本来同じもの(ビックマック)の値段は同じであるはずですが(一物一価の法則)、同じ値段でないならそれは為替レートがおかしい(為替レートを通じて調整すべき)って考え方ですね。
この指数は英国のエコノミスト(職業ではなくて経済紙の名前)誌が1986年に考案しました。
なぜビックマックが指数として使われるのか
なんでビックマックが指数として使われるかと言えば、その国の商品の調達力がビックマックに端的に反映していると考えられているからです。
牛肉、小麦といった西洋社会では主要な食料を使っており、その値段は食料全体を代表するとみられます。
また、店舗で提供している商品なので、家賃などの不動産関連コストやバイト代などの人件費、配送のための物流費など幅広くその国の実力を反映しているとみられています。
だからビックマックが選ばれているのですね。
ビックマック指数の実例
以下、一覧表(ビックマック指数は本来はドル建てですが、円ベースに直しております・1ドル105円前提)
やはり欧州それもユーロゾーン以外の国が高いですね。スイス、スウェーデン、ノルウェーの通貨がユーロ安のあおりで以下に高騰しているかが分かります。
イギリスについては、計算方式的に直近のポンド安が織り込み切れていないので実際はもっと低いです。
ユーロ圏の先進国の中で、フランスが最も高いのはフランスの労働者が政府の政策などで優遇されている可能性が高い(だから競争力がない)、などいろいろ読み取れちゃうものもあるかも知れないですね。
対日本で見ると
このようになります。
日本は物価があまり高くないですよね。
この表をみて、「日本はもはや豊かでない」っていう主張を見かけることがありますが、その解釈はちょっと違うんじゃないかなって思います。
日本とタイ、ハンガリー、チェコがほぼ同じ水準になっている段階で、感覚的にもこれで豊かさを示すのは無理があるのですが・・・
「一人当たりGDP」を見て豊かさの議論をするならまだしも、「ビックマック指数」は物価の指数なので豊かさを議論するには適さないのですよね
物価の高い国は豊かな国である可能性は高いですが、イコールではありません。
日本の生産性が高いことで、同じ商品を安く提供できているって可能性も高いのです。
日本みたいに整理された物流網が、日本よりビックマック指数が上位の国にあったらって考えると結果は同じとは思えないですよね。
物価の高い国は人件費の高さを通じてビックマック指数が高くなりがちですが、それは物流などの生産性の違いによって覆ることも多いのです。アルバイトが優秀な国なら、一人当たりの人件費は高くても、少ない人数で店舗を運営できるので、トータルの人件費はむしろ安くなるってこともあり得ます。
そうした、もろもろの要素を複合したのがビックマック指数なわけですね。
購買力平価説とは
ビックマック指数とは購買力平価説に基づく考え方です。購買力平価説とは為替レートの決定理論の一つです。
(絶対的)購買力平価説とは、為替レートは2国間の通貨の購買力によって決定されるという説です(上昇率にフォーカスする相対的購買力平価説もあるが省く)。
簡略化して説明すれば、
同じものは同じ値段のはず。もしそれが、同じ値段でないならば、それは為替レートの調整によって同じ値段になるべきであるって理論です。
上で説明したビックマック指数の説明そのままですね。
ビックマック指数はビックマック1つをもって簡易的に購買力平価を計算しているということが出来そうです。
これを意識しながら上の表を見ると、クローナ、クローネの北欧通貨、スイスフランなどは過大評価されてるって言えそうですね。
まあ、これらの通貨はユーロの代替としての需要が強い、などの背景があるのですが。
あと、ドル高を反映して米国のビックマック指数も高くなっています。
※ ビックマック指数も半分お遊びのような指標(ビックマックの大きさは国によって違う、消費税を調整する必要があるなど)ですし、購買力平価説自体も説明力は限定的なので、参考程度にご利用ください。