7月14日のEテレの内容です。(7月21日までご覧いただけます)


UK IRAQ WAR INQUIRY SLAMS BLAIR

「英調査委 イラク戦争参戦を批判」

 

A long-awaited report into Britain's decision to join the Iraq War in 2003 has delivered a scathing verdict.
イラク戦争に参戦するという2003年のイギリスの決定についての長く待たれていた調査報告書が、痛切な判断を下しました。

解説

a report into ...「~の中へ入り込む報告書」は「~について詳しく調べる報告書」ということで、an investigation report into ...は「~についての調査報告書」という意味合いです。
verdictは、陪審員による有罪・無罪といった「評決」など、権威を持つ者が慎重に考えた結果としての「判断、意見」です。



The independent inquiry has found that former Prime Minister Tony Blair did not accurately represent the threat, and it says he didn't give the risks and consequences enough consideration.
この独立調査(委員会)は、トニー・ブレア元首相は(参戦して取り除くべき)脅威を正確に説明しなかったと判断しました。そして、(参戦の)危険性と結果について十分な考慮をしなかったとしています。

解説

representは、誰かの「心の中に何かをpresent(提示)する」ことで、ここでは「説明する」という意味です。
consequenceは「ある行動がもたらす必然的で重大な結果、影響、結末」です。
報告書は、イラクでの大量破壊兵器の存在を証明できないまま戦争に踏み切り、多くの犠牲者が出たと指摘しています。



The inquiry was launched by the British government and took seven years to complete. Its chairman, John Chilcot, said Wednesday the intervention went "badly wrong."
調査はイギリス政府によって開始され、完了までに7年かかりました。(調査委員会の)委員長ジョン・チルコット氏は水曜日に、この介入は「ひどい結果に」なったと述べました。

解説

ここでのintervention「介入」は、参戦することによってイラクに介入したことです。
イギリスの独立調査委員会は7月6日(水曜日)、政府高官や軍の幹部への聞き取りなど7年間にわたる調査の結果をまとめた報告書を発表しました。



"We have concluded that the UK chose to join the invasion of Iraq before the peaceful options for disarmament had been exhausted. Military action at that time was not a last resort."
「独立調査委員会は、武装解除のための平和的な選択肢が尽くされる前に、イギリス(政府)はイラク侵攻に参加することを選択したという結論に至りました。軍事行動は当時、最後(に残された)手段ではありませんでした」

解説

独立調査委員会のジョン・チルコット委員長が報告書を発表した際の言葉です。
disarmamentは「軍縮、武装解除」で、arms(兵器)を減らすことです。dis-は「反」、armamentは「軍備」です。
ここでのresortはやむをえず頼る「手段」で、いわゆるリゾートなど「行楽地」の意味ではありません。



The report denies there was a realistic threat from Iraqi weapons of mass destruction. That was the main justification the U.S. and Britain gave for invading Iraq.
報告書は、イラクの大量破壊兵器からの現実的な脅威があったことを否定しました。それは、アメリカとイギリスがイラク侵攻は正当化されるとして提示した主な理由でした。

解説

weapons of mass destructionは「大量破壊兵器」で、破壊力が特に巨大である化学兵器、生物兵器、核兵器を指します。
報告書では、戦争の大義とされた大量破壊兵器について、「当時のイラクは経済制裁が続くかぎり、核兵器の開発は不可能だった」と指摘しています。そのうえで、生物化学兵器の製造についても「疑惑の域を出ない」としました。



It also points out that Blair wrote to then U.S. President George W. Bush saying, "I will be with you, whatever," and it claims this shows the two leaders had agreed to overthrow Saddam before the start of the war.
報告書はさらに、ブレア氏が当時のジョージ・W・ブッシュ米大統領に文書を送り、「あなたに協力します、何があっても」と述べたと指摘しています。そしてこれは、2人の指導者が開戦より前に(すでに)、サダム(フセイン大統領)を打倒することに合意していたことを示すと主張しています。

解説

I will be with you, whatever.は、I will be with you whatever (you do).や、I will be with you whatever (you decide).といった意味で、どんなことになっても相手と一緒にいる、協力する、ついていくということです。
overthrowは、政権を「転覆する」、政権(指導者)を「打倒する」です。



Blair said Wednesday he accepts full responsibility for his actions.
ブレア元首相は水曜日に、自身の行動に対して全責任を負うと述べました。

解説

報告書の発表を受けてイギリスのブレア元首相は7月6日(水曜日)、記者会見を開きました。



"The decision to go to war in Iraq and to remove Saddam Hussein from power, in a coalition of over 40 countries led by the United States of America, was the hardest, most momentous, most agonizing decision I took in my 10 years as British prime minister."
「アメリカ合衆国によって主導された40を超える国々の連合(の一部として)、イラクで戦争を行い、サダム・フセイン氏を権力の座から取り除くという決断は、私がイギリス首相としての10年間において下した中で、最も困難で、最も重大であり、最も苦悩した決断でした」

解説

ブレア元首相の記者会見での一節です。
go to warは「戦争をしに行く、戦争する」です。
a coalition of over 40 countries led by the United States of America「アメリカ合衆国によって主導される40を超える国々の連合」は「40か国以上が参加する米主導の多国籍軍」と訳すこともできるでしょう。この戦争は国連安保理の支持を得ない武力行使で、イギリスは中心的役割を果たしました。



Blair said he disagrees with the criticism that removing Saddam triggered the current terrorism, creating chaos in the Middle East. He said Saddam himself was a source of terror and a "continuing threat to peace and to his own people." He claims the world "was and is" a better place without him.
ブレア元首相は、フセイン氏を取り除いたことが現在の(頻繁な)テロリズムを引き起こし、中東に混沌をもたらしたとする批判には同意しないと述べました。ブレア元首相は、フセイン氏自身が恐怖の源であり、「平和と彼自身の(国)民にとっての継続する脅威」だったと述べました。ブレア元首相は、フセイン氏がいなくなって世界はより良い所に「なったし、今もそうである」と主張しました。

解説

Saddam Hussein(サダム・フセイン)氏を短く呼ぶときには、SaddamあるいはHusseinと呼ばれました。実はどちらも姓ではなく、便宜的な呼び方です。フセイン元大統領は2006年に死刑が執行されました。


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