太陽エネルギーだけで世界一周を目指す冒険に旅立っていたソーラー・インパルス2が、日本時間7月26日午前11時ごろ、スタート地点で最終到達地のアブダビに着陸しました。太陽光エネルギーだけを使う固定翼機での世界一周達成は世界初とのこと。最後のフライトを務めたベルトラン・ピカール氏は、「この成功は未来を明るくクリーンなものへ変えるための布石となるだろう」とコメントしました。
修理になったSolar Impulse 2が、ようやく再離陸を果たしたのは今年4月のこと。その後はハワイから太平洋を横断してアメリカ大陸に到達し、そのまま東海岸~大西洋を経てスペインへ。最終フライトは7月24日から、エジプトのカイロを出発し、ピラミッドを眼下に見下ろしつつ最終地点のアブダビへと向かっていました。
BREAKING: it's a first in the history of #energy, @solarimpulse is only the beginning, #futureisclean pic.twitter.com/sRjD59Gi2x
— Bertrand PICCARD (@bertrandpiccard) 2016年7月26日
Solar Impulse 2の旅程は当初目標とした5か月を大幅に越え、15か月におよびました。それでも、この世界一周が偉大な記録達成であることに変わりはありません。訪れた地は17か所、総移動距離は4万kmを超え、15か月におよんだ冒険はようやくその幕を下ろしました。
.@solarimpulse positioned to contribute to next generations of manned or unmanned electric aircrafts #futureisclean pic.twitter.com/3oYFPTYbzr
— André Borschberg (@andreborschberg) 2016年7月26日
世界をひとまわりしたSolar Impulse 2の機体は、その全幅が72mもありながら、重量は2.3tしかありません。コクピットは狭く身動きがとれないため、太平洋や大西洋を渡るような長時間飛行になる時は20分程度の短い睡眠を繰り返すヨガの手法を取り入れたりもしたとのこと。また飛行中のインターネット接続も確保しており、モナコに設置した管制チームとのやり取りにはGoogle Hangoutを使用していました。
なお、2人のパイロットのうちアンドレ・ボルシュベルグ氏は元スイス軍パイロット~経営コンサルタント、起業家という経歴の持ち主で、過去には麻布十番に住んでいたこともあるとか。一方のベルトラン・ピカール氏は精神科医であると同時に冒険家で、1999年には気球による無着陸世界一周を達成しています。ピカール家は祖父が気球研究家で水素気球を使い世界初の成層圏到達を果たしたオーギュスト・ピカール氏。父がマリアナ海溝チャレンジャー海淵への潜水探検を実行したジャック・ピカール氏と、まさに冒険野郎一家と呼ぶにふさわしい家系です。