スベア123の魅力を論理的に伝えるのは難しい。好きだから、好きだ!という幼稚な結論になってしまう。キャンプをある程度する人なら一度は手にするかもしれない。しかし使い続けるのは惚れ込まなくてはムリな気がする。
それでもなんとか分かりやすくまとめてみると次の5つの理由が挙げられると思う。
1.見た目の良さ
2.面倒くささ
3.ご機嫌うかがい
4.火柱
5.信頼度
これってどこがいいの?って思うかもしれない。まず大前提としてソロキャンパー以外はスベア123を使うのは正解とは言えないだろう。なぜならソロキャンプという行為は面倒くささを楽しむ行為であるからだ。
多人数のキャンプと違い、ソロキャンプは孤独だ。しゃべる相手がいない。時間があまる。食う、寝る、遊ぶ。という3つの行為それぞれに時間をかけ丁寧に過ごすことがソロキャンプを楽しむということである。
今は、ガス燃料ストーブや高性能なアルコールストーブが販売されている。家にあるカセットコンロ並に簡単に料理ができるストーブがたくさん販売されているのだ。しかしスベア123は100年以上売れている。
この記事を書くにあたって、ちょっとはしっかりした内容を、と思いwikiで調べてみた。見なきゃよかった。スベア123を懇切丁寧に解説してありまるでマジックの種明かしをされたように感じ正直しらけた。
前書きが長くなった。この記事は僕のスベア123に対する独断と偏見に満ち満ちたものであることを予め知っておいて欲しい。
1.見た目の良さ
まずたいていの男ならスベア123の無骨な格好良さにノックアウトされ手にとってしまうはずだ。マットな金色に輝く寸胴型の無骨なデザイン。実用性を突きつめた工業デザインの極地であると言える。
どんな過酷な場所でも使えるように設計されている。しかしなんだか、無駄もとっても多い気がする。その不可思議さがスベア123の風防を取る前の姿である。ガンダムでいう連邦軍のモビルスーツである。
風防をとるとあら不思議、曲線美のスラリとしたフォルムに変わる。どっしりとした燃料タンクの上にすらっと延びる首が支えるバーナー部分。ガンダムでいうジオン軍のモビルアーマーに変身する。
なにを言ってるんだか分からなくなってきた。
2.面倒くささ
先に書いたようにスベア123はとにかく扱いが面倒くさい。火をつけるまえにプレヒートと言って、タンクを熱することでタンク内の圧力を上げて燃料を気化させる必要がある。この加減が慣れないと難しい。
気温によってプレヒートさせる時間が変わるのだ。寒いときには長く、暑いときには短くしないといけない。一般的にはタンクないのガソリンをスポイトですいあげタンクの凹みにこぼして火をつける。
だがこのやり方はスポイトを常にもちあるかないといけないという欠点がある。僕は大抵、ティッシュペーパーをちぎってこよって、タンク内のガソリンをしみこませて凹みに巻き付け火をつける。
このときに、ボッ!!と火が20cmくらいあがるがそれでいいのだ。
3.ご機嫌うかがい
プレヒートさせたあとは本体に鎖でつながれたつまみを突起に差し込み左右どちらかに回す。十分に内圧が高ければそこでボッ!!と火がつく。最初はめらめらと赤い火がつきバババババッと威勢のよい音がする。
この音が最高にいいのだ。バババッババッババッバ!っとまるでハーレーダビッドソンのエンジン音のように不安定な、それでいて聞くものの気持ちを鷲掴みにするような心地よい不連続音。ずっと聞いていたくなる。
そしてこの不連続音が安定したバババババッに変わるまでは、慎重にバルブを右に回したり、左に回したりして、火のご機嫌うかがいをしないと、しゅんと消えることがある。最悪である。プレヒートからやり直し。
最初は常にご機嫌うかがいをしないとへそを曲げる。小悪魔的魅力だ。
4.火柱
そして火柱。これ、どこがいいのか分からないという人はスベア123の良さの半分も分かっていない。スベア123のご機嫌うかがいを面倒くさがって適当なあつかいをするようなすかした男はもれなく火柱の刑。
特にプレヒートのやりすぎで内圧が高くなりすぎ、中の燃料が着火の瞬間にもれると1m位の火柱があがる。20年以上のつきあいの僕でもたまに火柱をあげて前髪を焦がすことがある。本当にびびる。怒らすと怖い。
この火柱にビビってスベア123を手放す人が多いのだが、この危険な香りがするところが大きな魅力の一つなのである。20年以上のつきあいでいきなりぶちぎれる女性、どうでしょう? すてきですよね?
いつまで経っても思うままにならないミステリアスさ、プレイスレス!
5.信頼度
そうはいいながら信頼度はバツグンなのである。いくら最新型のガスストーブが軽くて小さくて可愛くて言うことも聞いてくれて、ということになっても、スベア123の総合的な安定感にはかなわない。
最新式ガスストーブは誰でもつけれられる。軽薄である。僕以外の誰でもいいのかとちょっと勘ぐってしまう。最新式のガソリンストーブは弱火の次に難しい『とろ火』なんかも容易にできてしまいよい子すぎる。
その点、スベア123はちがう。ご機嫌を常に伺っていないとすぐに火柱をあげて怒るが、ちゃんとした手順をふんでつきあえば確実に安定した火力を保ってくれるのだ。しかし少しでも手をゆるめると消える。
なんだかとっても人間くさいのだ。スベア123というストーブは。
【まとめ】
すみません。まったくスベア123の魅力が伝わっていない気がしますが僕の力不足です。僕のことは嫌いになってもスベア123のことは嫌いにならないでください。おしまいっ!(2326字)