多様性と創造性の都市ベルリンは、欧州の文化首都として成長を続けています。冷戦の終結、壁の開放、そして東西ドイツ統一がインターネットのグローバル化に道を拓いたとすれば、ベルリンはインターネットのもうひとつの原点といえる場所です。1990年代のインターネット第一幕がシリコンバレーを主役としたならば、インターネット第二幕はベルリンが発火点かもしれません。
インターネットの聖地は
シリコンバレーからベルリンへ
今、インターネットビジネスの聖地シリコンバレーが揺れています。シリコンバレーには2万4000のスタートアップ企業がある(※1)とされていますが、この30年の間、アメリカのスタートアップが減少していたことが最近の調査で明らかになったのです。そして、この10年で急落しています(※2)。
米国カウフマン財団の最新報告書は、米国における企業数が、1990年代以降減少していることを示しました。さらにブルッキングス研究所の調査によると、米国のいわゆるビジネス起動速度(全企業活動における新会社の数)は1978年以来、ほぼ半分に低下していることが判明したのです。
2016年5月の報告によれば、ベルリンのデジタル経済規模は110億ユーロ(日本円で1.3兆円)で、これはベルリン経済の5%を占めます。昨年、ベルリンは世界のスタートアップの成長指数トップと評価され、有望なスタートアップが年に500以上生まれています。全欧州のベンチャーキャピタルからの投資総額は2億3000万ユーロ(約261億4000万円)。ベルリンはスタートアップを育むさまざまなインフラが整備されています。特に毎年400を超えるデジタル系文化イベントが開催され、世界有数のインターネット関連イベントである「ベルリン・ウェブ・ウィーク」に毎年訪れる専門家の数は2万人にのぼります。ベルリンは若き起業家を育む大学都市でもあり、毎年1万5000人のIT系学生が学び、その内13%が外国人学生です。
欧州の投資家、ロベルト・ボナジンガ氏は、「次のFacebookはベルリンから生まれる」と述べます。これは、イノベーションとスタートアップ文化が、シリコンバレーからベルリンにシフトしているだけでなく、欧州連合(以下EU)で2018年施行が決定したEUデータ保護規則が、FacebookやGoogleなど、シリコンバレーのIT巨人に大きな影響を与えることを示唆しての発言だったかもしれません。
(※1)https://angel.co/silicon-valley
(※2)http://www.nber.org/papers/w21776