(2016年7月19日放送)
振り込め詐欺などの特殊詐欺に「私は大丈夫」と思ってらっしゃる方、多いのではないでしょうか。
しかし、そうした方も注意が必要です。
愛知・岐阜・三重の3県で、ことし1月から6月までの半年間の特殊詐欺の被害は、愛知県が約20億円、3県を合わせると25億円近くになります。
今どんな手口が増えていて、被害に遭わないためにはどうすればよいのか。
名古屋放送局の福島康児記者が取材しました。
被害急増!還付金詐欺
「特殊詐欺」のなかで最近、特に被害が増えているのが「医療費や保険料などが返ってくる」と、うそを言ってATMに行かせる「還付金詐欺」です。
この手口、お金が戻ってくるどころか、犯人は電話の相手をATMに行かせると、言葉巧みにATMを操作させ、逆に犯人の口座にお金を振り込ませます。
愛知県では半年間で2億円近くの被害が出ています。
4月以降に急増し、特に6月は54件と多発しました。
さらに7月に入っても被害が続き、12日には知多市の60代の女性2人に、それぞれ「お金を返します」とうその電話がかかってきました。
2人は指定された通り、スーパーのATMに行き、携帯電話で男の指示を受けながらATMを操作しました。
すると、いつの間にかお金を振り込む操作になっていて、合計約600万円をだまし取られたのです。
知多警察署の小笠原茂彦生活安全課長は「今回の事件は還付金詐欺の典型的手口です。自治体に確認していただくか、警察に相談していただく。ATMで還付金の手続きは絶対にできない。そのような電話はすべて詐欺なので警察に通報してもらいたい」と呼びかけています。
あの手この手の対策
愛知県警察本部は、詐欺の電話を受けた人にだまされたふりをしてもらい、現金を受け取りに現れた犯人をその場で逮捕する「だまされたふり作戦」を行っています。
この半年間で40人以上を検挙し、1億3000万円の被害を阻止したということです。
そして、三重県ではユニークな対策もとっています。
「ふりこまん!」まんじゅうが登場
三重県いなべ市の商業施設で配られたのは、おまんじゅうです。
その名も「ふりこまん!」。特殊詐欺の電話がかかってきても振り込まないようにというメッセージが込められています。
お年寄りにも親しみやすい食べ物、まんじゅうで振り込め詐欺などにあわないよう呼びかけています。
まんじゅうを受け取った男性は「なんか身近に感じていいかなと思います」
また、まんじゅうを食べた女性は「おいしい。こんなんいただいたらますます気をつけます」
「ふりこまん!」作った思い
「ふりこまん!」をつくったのが、いなべ市で和菓子店を営む近藤正治さん(82)です。
「ふりこまん!」のために新たに白あんのまんじゅうを作り、「ふりこまん!」の焼き印もつくりました。
あいつぐ詐欺被害を防ごうと警察の呼びかけに応じて協力しました。
近藤さんは「なんとかおもしろいアイディアで特殊詐欺を抑止できる協力ができないかということで、『ふりこまん!』を作りました。『ふりこまん!』というまんじゅうの名前で振り込まないことを思い出してほしい」と話しています。
この「ふりこまん!」は、年金支給日の15日にあわせて、毎月13日から15日に販売される予定です。
近藤さんは「食べて話の話題にしてもらえれば、結構じゃないかなと思います」と話しています。
被害に遭わないための注意点
しかし、こうしたさまざまな対策にもかかわらず、特殊詐欺の被害はなくなりません。
自分は大丈夫だと思っていても、いざ、電話があると信じてしまうのが特殊詐欺の危険性です。
だまされないためのポイントをまとめました。
まず、「還付金がある、ATMへ」という話は、間違いなく詐欺です。
役所などが「お金を戻す」といってATMに行かせることは絶対にありません!また、「携帯電話が変わった」、「小切手が入ったカバンを落とした」というのは、典型的な「オレオレ詐欺の手口」です。
息子や孫をかたる不審な電話があったときには、もともとの本人の電話番号にかけて、確認してください!犯人が「上司や同僚がお金を取りに行く」と言ってくる手渡し型の詐欺も相次いでいます。
大事なお金を見ず知らずの第3者に渡してはいけません!そして特殊詐欺全体に言えるのは「お金を要求する電話は、すべて詐欺だと疑う」ことです。
さらに一度電話を切って、家族に確認したり警察に相談したりすることが大切です。
このほか家族との間で「合い言葉」を決めておくのも対策の1つになりますし、お子さんやお孫さんがふだんから「こんな電話にだまされたらいかんがや?」という会話をしていただいて言葉を交わしておくことも、被害防止につながなると思います。