ハニトーはどうした
パネルにしてまで参加してもらったハニトーだが、パネルであることが災いして会議ではほとんど触れられなかった。
写真撮影時に初めて食べたが、これはフルーツサンドと逆で、
「見るとケーキ、食べるとパン」
という種類のものだと思った。
写真撮影時に初めて食べたが、これはフルーツサンドと逆で、
「見るとケーキ、食べるとパン」
という種類のものだと思った。
パンかケーキか、勇気を持って分類した。
冷蔵庫にケーキがあるから帰ったら食べなさい」
そう母が言った。 小学生の頃である。 そっけない返事をしたが、その日一日は何となくケーキのことを考えて過ごすことになる。そのうち期待が膨らみ、白と赤のコントラストがまぶしい、パリッとしたショートケーキを想像して駆け足で帰路につく。 帰って冷蔵庫を開けると、タッパーにパウンドケーキが入っていた。 「これは、パンだ!!」 こういった悲劇を世の中からなくすために、パンとケーキの認識の違いについて考えてみた。 祝祭感で評価しようここでまず、この記事内でのパンとケーキの定義を決めたい。
「おめでとう」という言葉が似合う・出てくると場が盛り上がる・そして誕生日や結婚式で出てきそうなのが「ケーキ」であり、そうでないのが「パン」である。
この定義でいくと、紙ふぶきやクラッカー、大道芸人も「ケーキ」ということになる。 いいだろう。 ケーキである。 そして、僕の中でパンかケーキかあいまいだったもの達を集め、上の定義に従って分類していく。 この三角形に、ケーキかパンか曖昧になっているものを配置していき、パンとケーキのヒエラルキーを作る。
パンかケーキかという2択では乱暴すぎる気がしたので、間に階級を設けたいと思う。
うまく配置できれば、冒頭のパウンドケーキなどは、「パンから○階級上のもの」「ケーキから○階級下のもの」という、明確な位置づけができる。 母も、 「冷蔵庫にケーキから○階級下のものがあるから帰ったら食べなさい」 と言ってくれれば、せっかくおやつを用意したのに息子が憤っている、という状況はなくなるのだ。 パンっぽいケーキとケーキっぽいパンを20種類用意した今回議題にしたパンやケーキはこちらの20種類である。
どうだろうか。パンかケーキかと聞かれて即答できるだろうか。 大体コンビニでそろった。パン屋でもケーキ屋でもないのに。
かなり数が多くなってしまったが、本当はロールケーキやシフォンケーキ、スフレ、ワッフルなどについても考えてみたかったのだ。
数が多すぎると整理がつかないんじゃないかと思い、泣く泣く削った。 パンとケーキの間にこんなにおいしいものが密集しているとは思わなかったのである。 こんなことを言っているが、買い物の最中は運んでいるカロリーの大きさに戦慄していた。この袋の他に、要冷蔵なので喫茶店で預かってもらっていたケーキ類の袋もある。
独断ではとても決められないので、編集部とライターの皆さんにも会議に参加していただいた。
パンかケーキか会議準備ができたところで、パンかケーキか会議、スタートである。
ハニトーのせいでその他の食べ物ものっぺりして見えて不思議。
まず僕が思う、パンとケーキのヒエラルキーを作り、それを皆さんに見ていただきながら並び替えて精度を高めていくという方法をとった。
色々な意見が出たが、論点を3つにまとめたので順に紹介したい。 ちなみに、最初に作ってみたヒエラルキーはこちらである。迷いが出ており雑然としている。あとハニトーのお呼びでない感がすごい。
論点1 ケーキっぽさとは、クリームなのかスポンジなのかパンとケーキの間にあるおいしい食べ物、何があればよりケーキに近づくかで意見が分かれた。
僕の案ではクリームなどが一緒にあるとよりめでたい=ケーキ と主張。
並びはごちゃっとしているが、食パンからショートケーキまで、だんだん祝祭感が上がっているような気がするのだ。
装飾(パン以外の要素)が多いと気分が盛り上がってケーキと感じやすいのだろうか。 ショートケーキやフルーツタルトといった「ザ・ケーキ」の直下に置いたのは、イチゴとクリームを擁するフルーツサンドである。 それに対してライターのべつやくさんは、その柔らかさから蒸しパンはかなりケーキに近いと主張。
ショートケーキの直下まで蒸しパンが出世する場面も。
べつやくさんは以前にこんな記事(「簡単にショートケーキが作りたい」)も書いており、蒸しパンがケーキのスポンジに近いことも実証している。
そういえば「蒸しパン」でなく「蒸しケーキ」とも呼んでいる商品もあるのだ。 「冷蔵庫にケーキがある」と言われてそれが蒸しパンだったら憤りを通り越して気がつかないレベルであるが、「初めての共同作業です」と促されて巨大な蒸しパンを新郎新婦が切っている結婚式はかなり楽しそうだなと思った。 なにより食べ応えがケーキに近い。 あるぞ祝祭感。 確かに手づかみでなくフォークで食べたらかなりケーキ。目隠しされながら切って食べたら分からないかもしれない。
ライターの石原さんは、ショートケーキ、フルーツタルト、ケーキ屋さんのシュークリームだけがケーキ、あとは全て同列でパンという完全2階級制。
「フルーツサンドはどうなるんですか!?」と聞いても「サンドイッチですからパンですね」と明確な回答だった。
ケーキ屋さん自体に祝祭を感じるということか。 分かるような気もする。 そんな中、編集部古賀さんがロックな世界を我々に見せてくれた。 全部ケーキ。
パンもケーキもケーキである。
なぜならパンもケーキも甘いしおいしい。 ここにある何を食べても普段とは違う、特別な時間を過ごすことができる。 だから全部ケーキである。 食べ物ひとつについて祝祭感があるかないか考えてきた今までだったが、この場合古賀さんの祝祭感がすごい。 食パンまでもケーキ。フランスパンは?と聞いたら「それはパン」とのことだったので、少しでも甘いものがケーキなのだと思う。
古賀さんの中で食パンは、全てを見通せる位置に立体的に位置しているらしい。食パンはまだ材料で、フルーツサンドやハニトーになる可能性を秘めているからである。
行くところまで行ってしまった感じがあるが、ケーキっぽさを出すには以下のような要素が必要であることがわかってきた。
ここまでで挙がったケーキっぽさ
編集部橋田さんが作ったヒエラルキーが上の要素を総合的に取り入れていると思う。ハニトーが隅に追いやられたのは、実物じゃないからである。ハニトーは悪くない。
論点2 三角形に切るとケーキに近づくのかケーキっぽさを評価する上で、「形」も大事な要素なのではないか。
例えば、コンビニで買ったアップルパイである。
これ、三角形に切ってみたらケーキ屋さんで売られているアップルパイみたいになりはしないだろうか。
切ってみた。
ケーキ…ではない。
一瞬ケーキのように見えるが、食べるとパンの味がすることがはっきりと伝わってくる。 形はけっこうケーキなので見ていると混乱してくる。 目を細めればケーキに見えないこともない。
ヤマザキパンの『イチゴスペシャル』も切ってみた。
イチゴスペシャルの階層の構造はかなりケーキなのではないかと思って切ってみたが、ケーキに近づいたとは言い難い。
パンからも離れるのでなんだかよく分からないものになる。 混乱する。 よく分からないついでに、いいシュークリームの上に刺さっていたコージーコーナーの札を刺してみる。
!! ちょっとケーキ!
やっとケーキっぽさが出てきた。
形よりも上に何かが乗っていることが大事なのか。 そんなことなかった。
もうこれは富良野あたりを指しているGoogleマップのピンだ。コージーコーナー富良野店だ。
こちらの記事(「みんなケーキになあれ」)でも挑戦されているが、形からケーキっぽさを出そうとしても意外とうまくいかないようである。
論点3 フルーツサンド問題ヒエラルキーを考えるにあたって一番意見が割れたのがフルーツサンドであった。
フルーツサンド
クリームとイチゴが入っているので限りなくケーキに近いと思っていたのだが、フォークで食べない、外側が食パンだ、そもそもサンドイッチだ、という意見もありかなり立ち位置が揺れ動いていた。
スポンジ要素のなさは確かにかなり大きいので、パン寄りの階級に置いて決着かと思われたフルーツサンド問題。 しかしこの後食べてみると… 「…ケーキ」
「ん??…ケーキ?」
ケーキである。
クリームとイチゴがあると口の中はかなりケーキなのだ。 というわけでフルーツサンドに限っては、 「持つとパン、食べるとケーキ」 という特別待遇が許可されることとなった。 中身は貴族なのだが、庶民の暮らしを知りたいとか言って家来の服と交換して街へ出てしまうおてんばなお姫様だ。 あれがフルーツサンドなのである。 まとめ色々意見を交わしたが、それを踏まえてもう一度僕がヒエラルキーを作り、一旦の結論とさせてもらうことにした。
6階級制とした
各階級に名前をつけるとしたらこんな感じになる。
何せ最初がこれなので、かなり成長したと思う。
クリームの有無やふわふわ感、そして祝祭感を意識して作ったつもりである。
このヒエラルキーに従うなら、冒頭の話などは母が「冷蔵庫にケーキから2階級下の食べ物があるから帰ったら食べなさい」と言ってくれればこちらも過度な期待はしない。 「ケーキから2階級下かー。蒸しパンかチーズ蒸しパンかパウンドケーキかフルーツサンドかー。楽しみだなー」となるわけである。 そういえば、母はどうなのかそういえば、である。
まだ結論を出すのは早い。 最後にこの会議のきっかけとなった母にもヒエラルキーを作ってもらった。 現物は食べちゃったのでカードを作って並べてもらった。
ん…?
なんと…
頂点のショートケーキを、パウンドケーキ、バウムクーヘン、シュークリーム、ケーキ屋さんのシュークリームというアンバランスに思える四天王が支える6階級ができた。
なんというか、聞きたいことはたくさんあるが、何よりもパウンドケーキがこんなに高い位置にいるのならケーキと呼ぶのも仕方ないと思った。 ひとつ、少年期からのもやもやが晴れた。 ハニトーはどうした
パネルにしてまで参加してもらったハニトーだが、パネルであることが災いして会議ではほとんど触れられなかった。
写真撮影時に初めて食べたが、これはフルーツサンドと逆で、 「見るとケーキ、食べるとパン」 という種類のものだと思った。 秋葉原のパセラ。
一人で行ったのだが、時間内に食べるのにとにかく必死だった。
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