障害者施設の19人が刺され死亡、容疑者は事件を事前に示唆

2016年7月26日14時5分  スポーツ報知
  • 刃物を持った男が侵入し、多数の死傷者が出た障害者施設(奥)に慌ただしく出入りする救急車
  • 刃物を持った男が侵入し、多数の死傷者が出た障害者施設で対応する救急隊員や関係者(共同通信社ヘリから)
  • 植松聖容疑者が出頭した相模原・津久井署前は、報道陣でごったがえした
  • 多数の死傷者が出た障害者施設「津久井やまゆり園」近くの道路に集結した救急車などの緊急車両

 26日午前2時45分ごろ、相模原市緑区千木良の知的障害者施設「津久井やまゆり園」の職員から「刃物を持った男が施設に来ている」と110番があった。神奈川県警や消防によると、入所者が首などを刺され、現場で19人が死亡した。ほかに25人が重軽傷。県警は殺人未遂と建造物侵入の疑いで、午前3時すぎに津久井署に出頭した現場近くに住む元職員植松聖容疑者(26)を逮捕した。

 警察庁によると、犠牲者19人は、平成以降の殺人事件では最多の死者数で、戦後としても最悪の被害とみられる。

 県警によると、植松容疑者は自称無職で「ナイフで刺したことに間違いない」と容疑を認め「障害者なんていなくなってしまえ」との趣旨の供述をしている。県警は同署に捜査本部を設置し、今後容疑を殺人に切り替えて経緯や動機を調べ、事件の全容解明を進める。

 相模原市によると、植松容疑者は2月18日に施設関係者に「障害者を殺す」と発言し、津久井署が事情聴取していた。

 政府関係者によると、植松容疑者は同月、施設を標的とすると明記した手紙を衆院議長公邸に持参し、事件を示唆していたという。

 植松容疑者は車で出頭。包丁やナイフ計3本が入ったかばんを所持していた。血が付いた物もあった。「縛られている人がいる」との通報もあり、容疑者が乗っていたとみられる乗用車の後部座席には結束バンドのようなものが複数あった。県警は植松容疑者が被害者を縛っていた可能性があるとみている。

 死者19人が見つかったのは、2階建ての居住棟内で、男性が入居する西棟の1階で2人、2階で7人、女性が入居する東棟1階で10人だった。東棟東側1階の窓ガラスが割れ、近くにハンマーが落ちていた。植松容疑者はここから侵入した疑いがある。

 消防によると、死亡した19人は19歳から70歳で、男性9人、女性10人。東京医科大八王子医療センターによると、重傷者のうち同センターに搬送された男女4人は意識不明。

 神奈川県などによると、植松容疑者は2012年12月から施設に勤務し、今年2月に「自己都合」を理由に退職した。施設の定員は160人。6月末時点で、19~75歳の149人が長期滞在していた。個室に1人か2人が入所し、全員が支援の必要度を示す6段階の区分のうち、重い方の「4~6」に該当する知的障害だった。約40人が60歳以上とみられる。敷地は約3万平方メートル。

 施設は事件当時、夜勤の職員8人と警備員1人の計9人態勢だった。

 捜査関係者によると、植松容疑者は手紙を衆院議長公邸に持参した後、「他害の恐れがある」との理由で、精神保健福祉法に基づき3月まで措置入院となった。病院で尿などを検査し、大麻の陽性反応が出た。

 現場はJR中央線の相模湖駅から東約2キロ。山に囲まれた住宅地で、近くに市立小学校もある。

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