2016年7月26日(火)

ニートたちが教えてくれた、「お金よりも面倒くさい」もの

“マネジメント”からの逃走 第52回

PRESIDENT Online スペシャル

著者
若新 雄純 わかしん・ゆうじゅん
人材・組織開発プロデューサー/慶應義塾大学特任講師

若新 雄純福井県若狭町生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程(政策・メディア)修了。専門は産業・組織心理学とコミュニケーション論。全員がニートで取締役の「NEET株式会社」や女子高生がまちづくりを担う「鯖江市役所JK課」など、多様な働き方や組織のあり方を模索・提案する実験的プロジェクトを多数企画・実施中。著書に『創造的脱力』(光文社新書)がある。
若新ワールド
http://wakashin.com/

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若新雄純=文
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人間社会の新たな災いの種

日本が経済的にはまだまだ貧しかったころ、誰もがあたりまえに「お金を稼ぎたい」という強烈なモチベーションを持っていて、それは人間社会の大きなエネルギーになっていたようです。お金は価値があるものであり、そしてさまざまな「災い」をひきおこす怖いものだとも言われてきました。

今でも、お金の力は絶大です。ところが、世の中の成熟にともなって、生きがいや働きがい、人間関係、愛情、幸福感など「お金よりも大切」などというものがぼんやりと語られるようになってきました。

それが何であるかは人それぞれでしょうし、お金こそが最上位だという人もいると思います。そんなものを、ここで議論するつもりはありません。ただ、僕が取り組んでいるとある社会実験の中から、現代社会ならではの「お金よりも面倒くさい」エネルギー源というか、人間関係における新たな災いの種のようなものを見つけました。

2013年11月に、メンバー全員がニートの「NEET(ニート)株式会社」なるものをつくりました。これは、全員が取締役に就任することで「雇用」というシステムや主従関係をリセットし、決まった仕事や役割もない代わりに固定の給料ももらえない、完全な自由と自己責任による実験的コミュニティです。その功罪の数々についてはまたあらためて記事にしたいと思いますが、給料や雇用関係のために何かを我慢したり、ゆずったり、遠慮したりということからも解放されてしまうことで、人間関係の生々しさがとめどなく噴出してきました。

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