カルテル疑い TDKなど2社公取委立ち入り
世界中のパソコンに使用されるハードディスクドライブ(HDD)の主要部品でカルテルを結ぶなどしていた疑いが強まったとして、公正取引委員会は26日、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で大手電子部品メーカーなど2社に立ち入り検査した。カルテルは海外の市場にも広がっているとされ、米国などの当局も調査を開始した模様だ。公取委は2社の担当者から事情を聴き、カルテルの全容解明を進める。
立ち入り検査先は、いずれも東証1部上場の電子部品大手・TDK(東京都港区)と、ばね製造・販売大手の日本発条(ニッパツ、横浜市)。
関係者によると、2社は少なくとも数年前から、HDDの部品のうち、データの記録・読み取りに使われる磁気ヘッドを支える精密ばね(サスペンション)の価格などを話し合いで決めていた疑いがある。
TDKのタイの現地法人と日本発条を合わせたサスペンションの世界市場のシェアは7割を超えている。
HDDの内部では、磁気ディスクの高速回転で空気の流れをつくってヘッドを浮上させている。サスペンションは、高速で回転するディスクとヘッドが接触しないよう、両者の間隔をナノ(10億分の1)メートル単位で保つ役割をしている。HDDの大容量化のためにも、サスペンションの技術が重要になっているという。
TDKは1935年設立。資本金は約326億円で、売上高は1兆1523億円(連結)。日本発条は39年創立。資本金約170億円で、売上高6405億円(連結)。【樋岡徹也】
両社とも認める
両社とも立ち入り検査の事実を認め、TDKは「全面的に協力させていただく」、日本発条は「真摯(しんし)に協力していく」などとコメントしている。
【ことば】ハードディスクドライブ(HDD)
デジタルデータを保存する記憶装置。金属の円盤(ディスク)を高速で回転させ、磁気を使ってデータの読み書きを行う。各社の技術開発競争の結果、大容量化が飛躍的に進んだ。パソコンや周辺機器、サーバー、AV機器などで幅広く使用されている。研究開発に多額の費用がかかることもあり、事業から撤退する企業も出ている。