中国政府は25日までに日本製の方向性電磁鋼板に反ダンピング(不当廉売)関税を適用することを決めた。これに対し日本鉄鋼連盟の進藤孝生会長(新日鉄住金社長)は同日の記者会見で「中国国内産業に損害を及ぼした事実はなく、不当かつ極めて遺憾」と述べた。
方向性電磁鋼板は磁気特性に優れた鋼板で、発送電のロスを軽減する機能を持っているため大型発電機や変圧器に多用されている。日本では新日鉄住金やJFEスチールが得意としており、世界でも高い技術力を持つ。
反ダンピングは中国鉄鋼大手、武漢鋼鉄集団などが2015年5月に提訴、中国政府が調査していた。発動は23日付。税率は日本メーカーが39~45.7%、韓国が37.3%、欧州連合(EU)が46.3%。
15年に中国が日本から輸入した方向性電磁鋼板は5万4300トン。直近の国別シェアでは日本が半分、韓国が約42%を占める。韓国よりも高く課税されることで日本製が競争力を失う恐れもあり、進藤会長は「需要家が(高関税に伴う高価格を)どう考えるか」と影響に懸念を示した。