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「ビフォーアフター」提訴へ 東海市の建設会社「追加工事費払わず」

 「匠(たくみ)」と呼ばれる建築士が住宅をリフォームする人気テレビ番組「大改造!!劇的ビフォーアフター」で、改修工事を請け負った愛知県東海市の建設会社が大幅に追加工事費がかかったとして、番組を放送した朝日放送(大阪)や番組制作会社ジャンプコーポレーション(東京)、建築士事務所などに約2900万円の支払いを求め、近く名古屋地裁に提訴することが分かった。放送倫理・番組向上機構(BPO)にも近く、申し立てをするという。

 番組は、施主の希望を聞いた建築士と制作会社が住宅をリフォームする企画。建設会社が工事を請け負ったのは2014年7月放送分で、岐阜市の築50年の2階建て店舗兼住宅を名古屋市の建築士の指示に従い、改修する内容だった。

 建設会社の代理人弁護士によると、リフォーム代金は当初、2200万円の予定だったが、建築士や制作会社の指示で追加工事が複数発生。その結果、代金は約5千万円に膨らんだものの、追加工事費は支払われなかった。契約時の覚書では、工事代金が予算を超過する恐れが生じた場合は制作会社や施主と協議するとしていたが、予定外の工事に対する相談はなかったという。

 建設会社は放送後の同年10月、朝日放送などに抗議、追加工事費の支払いを求める民事調停を申し立てたが不調に終わった。

 番組では予算内に収まったというテロップが表示されたが、建設会社の男性社長(54)は「まったく事実と違うことを放送され腹立たしい。かかった費用は返してほしい」と訴えている。

 朝日放送は「この案件について制作会社と密接に連絡を取り丁寧な対応をお願いし、制作会社もこれまで民事調停を含め適切な対応を取ってきたと承知しています」、ジャンプ社の代理人と建築士は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。

 同番組を巡っては過去に、リフォームした住宅に欠陥があるとして、施主が建築士と建設会社に損害賠償を求めて提訴したケースがある。

    ◇

 <金城学院大国際情報学部の磯野正典教授(マスメディア論)の話> テレビのバラエティー番組では、2013年にフジテレビの「ほこ×たて」が不適切な演出で打ち切りになるなどトラブルが相次いでいる。視聴率を取りたいという気持ちから、1のものを10に見せるというテレビ的な作りをしてしまいがち。最近は制作側も厳しくチェックしているが、すべてのスタッフに過剰な演出を控えるという意識が行き渡っているかは不透明だ。

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