何で比較すべき?失敗しないSFAツール選びの勘所

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何で比較すべき?失敗しないSFAツール選びの勘所

営業活動を強力に支援してくれるSFA(営業支援)ツールですが、実際に比較検討する際にはどんな視点で選ぶべきなのでしょうか。今回は、巷に流布するSFAツール選択のポイントに関する誤解について指摘しながら、失敗しがちなポイントからひも解く成功の秘訣を詳しく見ていきます。

本コラムの目次

「機能」「コスト」で選ぶべき、という誤解

Excelなどを使って顧客管理や案件管理などを行ってきた従来の環境から脱却し、営業活動支援に役立つSFAツール導入を検討している企業が増えています。実際にSFAツールを調べてみると、数多くの製品やサービスが検索でヒットすることでしょう。同時に、SFAツールを比較する際のポイントについてもいろいろ語られていますが、よく「機能」や「コスト」で選ぶべきだという情報を見かけます。間違いではないと感じるかもしれませんが、機能やコストでSFAツールを選ぶという視点は、実は大きな誤りであり、そのまま鵜呑みにしてしまうと残念ながら失敗してしまうことに。現場に受け入れてもらえず、かえって営業部門に負担を強いてしまう可能性をはらんでいるからです。

「機能」神話はもう崩壊している

機能がたくさんあるほうがよいと思う方も少なくないでしょう。ただ、機能が多いからといって期待した効果が得られるわけではありません。例えば、最近ではスマートフォンをもつ人が増えていますが、以前の携帯電話、いわゆるガラケーであっても電話やメール、インターネットへのアクセスは可能です。ではなぜスマートフォンに乗り換える人が増えているのでしょうか。これは、画面も大きくスワイプなどの操作性・視認性が高いことが理由の1つに挙げられます。つまり、スマートフォンのほうが使い勝手がよいからであって、決して機能がたくさんあるからではありません。この使い勝手という視点は、SFAツールだけに当てはまるものではなく、あらゆるITツールに当てはまることです。使い勝手が悪いと利用者からは敬遠されてしまい、結果として使われないツールとなってしまうのです。

もちろん、会計ソフトなど特定業務に特化したツールでは、多少使い勝手が悪くても仕訳処理や決算処理などの業務を行うためには、無理してでも使わざるを得ません。そして、経理担当者など少人数しか使わないため、そのまま使い続け、そのうち慣れてくるものです。しかし、多くの営業担当者が利用するSFAツールの場合、メールやExcelで管理表の作成や報告業務が行える、つまりSFAツール以外の代替手段が存在しているため、使い勝手が悪いと利用されません。バラバラのツールを利用してしまうことで情報の分断が起こり、PDCAをうまく回すことができないばかりか、入力するツールが増えてしまって現場の負担が増していくことになってしまうのです。

使い勝手という比較ポイントで製品を見てみると、例えば一度入力すれば様々な場面で入力した情報が活用できるような仕組みが理想的です。一度のインプットで顧客情報や案件管理など様々な管理シートにアウトプットしてくれる、つまりシングルインプット・マルチアウトプットが可能かどうかです。現場の営業担当者は活動報告を一度入力すれば、それが案件管理に自動的に反映され、月末の営業会議資料もその情報がそのまま利用できるため、別途資料作成する時間を省くことができるようになります。また、それがPCの画面だけでなくスマートフォンなどからでも入力できれば、場所を選ばず利用できるためさらに便利なはずです。資料作成や報告のための時間が削減でき、入力する営業担当者にもきちんとしたメリットを提示することができるようになります。

“安かろう・悪かろう”は避けるべき

もう1つのコストという点で比較し考えることは重要です。しかし、“安かろう・悪かろう”ではうまくいきません。安くても使い勝手が悪いと現場に使ってもらえず、結局、お金を捨てることになりかねないからです。ここでも使い勝手という比較ポイントが重要であることは間違いありませんが、実はほかにも考えておくべき視点があります。それが定着できるSFAツールであるかどうか、つまり定着させるため仕組みやノウハウ、体制をもっているSFAベンダーであるかどうかという点です。

SFAツールを入れる目的は、本来であれば売上拡大や営業力強化、残業の削減といったものがあるはずで、これを達成するためには情報を一元化し、営業活動のPDCAサイクルを回していくことが大切です。そのためには、使い続けていくことが重要であり、現場に定着させるためにはある程度の期間が必要です。その間は専門家のサポートがどうしても必要になってくるのです。目先のコストだけで製品を比較し、選択すると、むしろ課題がより大きくなるなどリスクが拡大する恐れもあります。営業支援ツールをしっかり現場に根付かせるための仕組みや体制があるかどうかをしっかりと見極めたいところです。

SFA製品を比較する際の10の失敗ポイント

機能やコストでSFAを比較することのリスクについて紹介しましたが、ではどういった視点でSFAツールを選択すべきなのでしょうか。ここで、失敗しがちなポイントについて振り返りながら、SFAツールの導入を成功させるための秘訣について見ていきます。

SFAツールを導入したものの、結果としてうまくいかなかった原因は、どんなところにあるのでしょうか。実際の実例をひも解いていくと、次のようなポイントが具体的な課題として見えてきます。

CRM/SFA 失敗の10の理由

SFA製品の選定における3つの成功のポイント

具体的には、営業現場にとって使いやすく設計されていないといった、そもそものツールの問題や部門最適のシステムが乱立して最適化できていないという「システム」に関すること、PDCAを回すための運用になっていない、KPIが間違っているといった「ノウハウ」に起因するもの、そしてプロジェクト/フォロー体制に問題があるといった「体制」に関することです。これら3つの視点でSFAツールを比較検討しない限り、導入しても現場に根付いていかないのが実態なのです。

ではSFAツールを比較するポイントとして、「システム」「ノウハウ」「体制」の3つからその最適解を考えてみましょう。

システムの視点から見たポイント

顧客接点を最適化するための仕組みとしてCRMがありますが、SFAもCRMの一部であり、関係する部署同士で顧客情報を共有していくことが欠かせません。しかし実際には、マーケティング部門や営業部門、コールセンター部門、顧客サポートのアフター部門など、部署ごとに個別最適化されたシステムが動いており、情報共有が行われていないケースが多く見られます。その結果、コールセンターに入ったクレーム情報が営業に共有されておらず、知らずに訪問してお叱りを受ける、なんてことも起こり得るのです。特にCRMやSFAは部分最適ではなく全体最適化された仕組みが必要不可欠であり、パッチワーク化されたシステム環境から脱却すべきです。顧客の情報をSFA(CRM)ツールで一元管理し、関係部署すべてで情報共有できる、そんなシステムが理想的なのは間違いありません。もちろん、ツールを導入することで仕事を増やさないようにする工夫が必要で、それには使い勝手がとても大切です。

ノウハウの視点から見たポイント

ノウハウについては、よく導入実績を参考にしますが、ここにも注意が必要です。SFAツールは、当然ながら導入することが目的ではなく、成果をきちんと出すことがゴールです。残業を減らす、組織営業力を高める、そして売上を増やすといった企業ごとに求めるゴールを達成することが、SFAツール導入における本来の目的であるはずです。ここでいうノウハウとは、単なる導入実績だけではなく、これらのゴールに向かうためのノウハウであり、SFA導入の際、これらノウハウを惜しみなく提供できるSFAベンダーかどうかが大切な比較ポイントになります。具体的には、営業活動に必要な顧客管理や日報などの情報をどのように一元管理すれば、きちんと営業活動のPDCAが回せるようになるか。また、シングルインプット・マルチアウトプットによって顧客接点のある各部署と情報共有ができる仕組みを作れるかどうかといった点が、ノウハウという視点から見ると重要になってきます。せっかく導入してもゴールがしっかり達成できる仕組みが作れないと、ゴールを達成することはできません。SFAツールを提供しているベンダーに営業力強化につながる営業ノウハウがあるかどうか、そしてそのための教育コンサルティングが提供可能かどうかがノウハウの有無を見極める重要な視点になってきます。

営業現場での使いやすさ

体制(プロセス)の視点から見たポイント

体制という面では、選定する段階でのプロセスに起因する部分と、選定後にきちんと定着させていくプロセスに起因する部分の両面が考えられます。

まず、SFAツールの選定プロセスは、一般的なITツールとは異なっていることを理解すべきです。ストレージやセキュリティなど一般的なソリューションの場合、投資計画から予算取り、情報収集、機能要件まとめ、RFP作成…といったプロセスで問題ありませんが、SFAツールは営業が活用するための仕組みです。そのため、まずは営業課題の整理をしっかり行った上で、どのようにマネジメントしていくのか、どのように活用するのか、定着するためにどんな策が必要なのかという要件整理をしていく必要があります。いきなり機能の比較をしても本来の趣旨からは外れてしまうものなのです。

また、導入したあとにいかに定着させていくのかというプロセスについても十分検討しておく必要があります。特にSFAツールは、いかに定着させていくかが非常に重要です。定着を支援するための専門チームが日々サポートしてくれるのか、営業力強化のために導入後もきちんと一緒に伴奏してくれるベンダーかどうかは、しっかりと見極める必要があります。

通常IT製品とCRM/SFAでは検討フローも違います

この3つの視点がうまくかみ合っていくことが、本来達成したいゴールに近づくための最適解となるのです。

日本にあった「緻密」なものを選ぶべき

これまで紹介してきた3つの視点が重要なのはお分かりいただけたかと思いますが、ほかにも意識しておきたいポイントがあります。それは、日本式の組織営業に適したものと欧米式の個人営業に適したものがSFAツールにはあるということです。これは善し悪しの問題ではなくマネジメント手法に違いがあることを正しく認識しておくべきです。日本の企業では、メンバーとの物理的な距離が離れている欧米と異なり、上司と部下が緊密に連携する組織営業に長けています。また、育成責任が伴わない欧米の企業と比べて、しっかり部下を育てていくという文化的な違いもあり、これら地理的・文化的な違いを理解した上で、SFAツールを見ていくという視点も忘れてはなりません。日本の営業風土に合ったSFAツールは、ミドルマネジメント層の使い勝手が考慮されており、育成責任を果たすことができる綿密な仕組みとなっているのです。

なぜ、「日本式」ミドルマネジメント?

SFAツールの比較ポイントについて詳しく見てきましたが、いかがだったでしょうか。実は、上記に紹介したもの以外にもチェックしておきたい項目がいくつも存在しています。そこで、その項目をベースにした比較表を用意しました。

この比較表は、全部で40項目におよぶ項目が列挙され、そこで製品が比較できるように設計されたシートとなっています。これまで紹介してきた項目だけでなく、「情報共有」「セキュリティ」「システム」「機能」「システム連携」「コスト」の各観点で検討すべき項目が書かれています。興味のある方は、ぜひダウンロードしてみてください。

SFAシステムの製品比較シート」はこちらからダウンロード

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