人びとを機動隊が排除する。封鎖された県道には、道路を管理する県職員さえ入れない。

 権力と重機が住民の反対を押して軍事施設をつくる光景がまた沖縄で繰り返されている。

 現場は沖縄本島北部にある東村の高江。政府が先週末、ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の工事を再開した。全国から数百人規模の機動隊が動員され、衝突でけが人も出た。

 すでに普天間飛行場の辺野古移設計画をめぐり政府と沖縄の関係は悪化してきたが、その上に今回の衝突騒ぎである。

 政府がここまで強硬策を急がねばならない理由は見当たらない。20年近く住民の反対に直面し、一部を除いて大幅に遅れた工事である。

 米兵・軍属の犯罪も重なって高まる反基地感情をこれ以上、こじらせれば、日米安保体制への影響も心配される。政府は力ずくの行動は慎むべきだ。

 ヘリパッドは1996年の日米特別行動委員会(SACO)合意で建設が決められた。現在7800ヘクタールある米軍北部訓練場(東村など)の約半分、4千ヘクタールの返還と引き換えとされる。

 だが、この間に在沖縄海兵隊の展開の仕方は変化している。かつての合意に沿って今も6カ所のヘリパッドが必要なのか再考の余地があるのではないか。

 計画された6カ所は高江集落を囲むように並び、400メートルしか離れていない民家もある。2014年までに2カ所ができたが、オスプレイが低空を夜遅くまで飛ぶこともある。

 沖縄防衛局による測定では、6月は1日平均32・8回、毎晩平均12回以上の航空機騒音にさらされた。「眠れない」という苦情が出ているのは当然だ。

 もともとオスプレイの利用は数年前まで知らされていなかった。「基地返還につながる」と着陸帯建設に反対しなかった翁長雄志知事も「オスプレイの運用は想定外だ」と批判する。

 北部訓練場を含む「やんばる」と呼ばれる地域の自然環境も懸念されている。ヤンバルクイナなどの希少種も生息しており、訓練場に隣接する約1万4千ヘクタールが、8、9月にも新たな国立公園に指定される。

 工事再開について政府は「基地負担の軽減策」としているが、普天間飛行場の移設も、北部訓練場の一部返還も、「負担軽減策」が、なぜ新たな負担とセットなのか。このままでは政府と沖縄県の関係は冷え込むばかりだ。

 政府はまず強行工事を中断し、県民がなぜ反対するのか、耳を傾けるべきだ。