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IOCの判断 リオで公正さ保てるか

 リオデジャネイロ五輪においてクリーンでフェア(公正)な戦いは保証されるのか。

     ロシアによる国家ぐるみのドーピング(禁止薬物使用)隠蔽(いんぺい)問題で国際オリンピック委員会(IOC)はロシア選手団をリオ五輪から全面排除せず、過去にドーピング違反がないなどの条件を満たした選手が出場できる道を残した。

     IOCのバッハ会長は「ロシアの国全体の責任と、選手個人の正当な権利とのバランスをとらねばならなかった」と説明したが、公正さが担保できるか疑問が残る。

     厳格なドーピング検査の実施と出場可否の判断を各国際競技団体(IF)に委ねたことに米国の検査機関からは「IOCはリーダーシップをとることを拒否した」との批判が出ている。IOCはクリーンな選手とスポーツの高潔さを守るためドーピングに対する闘いを主導することを掲げている。今回の判断はその責任を果たしたとは言えないだろう。

     IOCからげたを預けられた格好になったIFの責任は重い。

     8月5日のリオ五輪開幕まで極めて限られた時間の中で多くの選手たちの出場資格を十分審査できるだろうか。審査をすり抜けた選手が出場することになれば、大会の価値をおとしめることになる。

     IFの事情もさまざまだ。ロシア選手のメダルが期待される柔道や体操はIOCの判断を歓迎している。国際テニス連盟は早速、IOCの出場条件を満たしたとしてロシアのテニス選手8人の出場を容認する方針を示した。審査に手心を加えることは許されない。

     世界反ドーピング機関(WADA)がロシア選手団の全面排除をIOCなどに勧告したのは、検査逃れや検体すり替えなどの違反が長期間、夏季、冬季を問わず多くの競技で行われ、しかもスポーツ省主導の下、治安機関や検査機関などが隠蔽工作に関与したと認定したためだ。

     バッハ会長も「ロシアの官僚組織やスポーツ界全体を含むシステムの問題」との認識を示している。代表選手の強化や育成を担うロシア・オリンピック委員会(ROC)も政府の意向を受け、不正に何らかの関与をした疑いは否定できない。

     IOCはスポーツの独立性と自律性を重視し、各国オリンピック委員会(NOC)が政治的な圧力に対抗しなければならないと五輪憲章に明記している。過去にはイラクやクウェートなどのNOCが政治からの独立性を保てなかったなどの理由で資格停止処分を受け、五輪への参加資格を取り消された。

     IOCはROCの責任を不問に付すようなことがあってはならない。

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