政府、沖縄県を提訴 是正指示確認求め
政府は22日午前、沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に関し、県を相手取って地方自治法に基づく違法確認訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした。第1回口頭弁論は8月に開かれる。移設を巡る両者の対立は再び司法の場に持ち込まれた。
翁長雄志(おなが・たけし)知事は2015年10月、仲井真弘多(ひろかず)前知事が行った辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した。政府が起こしたのは、取り消しを撤回するよう求めた石井啓一国土交通相の是正指示に従わない知事の「不作為」の違法性を確認する訴訟。今秋には判決が出される見込みだが、敗訴側の上告が確実視され、最高裁判決は年明けになるとみられる。
政府と県は今年3月、乱立した訴訟を一本化する和解条項に合意。それぞれが起こしていた訴訟をいったん取り下げ、政府は移設作業を中断した。総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」の審査を経て、県が政府を提訴する段取りだったが、係争委は6月に示した審査結果で是正指示の適否を判断せず、両者に協議を促したため、県は提訴を見送ることを決めた。
早期の工事再開を目指す政府は、県の提訴見送りによって移設計画が滞ることを警戒。21日に首相官邸で開かれた県との協議会で、政府側から提訴する方針を伝達した。菅義偉官房長官は22日の記者会見で、「司法判断を仰ぐ手続きと協議を並行して迅速に進める和解条項の趣旨に照らして訴訟を提起した」と説明し、「司法手続きと協議を並行して進める和解の趣旨に照らして訴訟を提起した」と述べた。
だが、県側は「協議がスタートする時に提訴するという話は大変、残念」(翁長氏)と反発。違法確認訴訟で政府が勝訴した場合でも、県が承認取り消しを撤回するかは不透明だ。県が撤回に応じない場合、政府は、より強い権限が国に認められる代執行の適用を求める訴訟を提起することも視野に入れている。【高本耕太】