22日、工事再開…反対派車両撤去へ 沖縄
米軍北部訓練場(沖縄県東村、国頭村)の約半分の返還に伴うヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の移設工事を巡り、政府は22日に中断中の移設工事を再開する方針を固めた。着工に当たり、工事車両の通行を阻止するために反対派らが東村高江周辺の工事現場の出入り口付近に置く車両などを強制撤去する。現場では反対派が24時間態勢で抗議活動を展開しており、混乱は不可避な状況だ。
米軍普天間飛行場の名護市辺野古への県内移設を巡って、政府と沖縄県は激しく対立しているが、もう一つの移設問題を巡っても両者がにらみ合う構図となりそうだ。
沖縄本島北部に広がる北部訓練場は、面積約7800ヘクタールの沖縄最大の米軍施設。大半が森林で、米海兵隊がゲリラ訓練やヘリコプター演習に使用している。日米両政府は1996年に約4000ヘクタールの返還に合意。その際、22カ所あるヘリパッドのうち7カ所(後に6カ所に変更)を、返還後も残る訓練場内に移設することを条件とした。
だが新ヘリパッドは東村高江の集落を取り囲むように計画されていることから、住民らは騒音被害や危険性などを訴えて反対運動を開始。移設工事は2007年7月に着工し、6カ所のうち2カ所が完成したが、残り4カ所は着工できていない。危険性が指摘される米軍輸送機オスプレイが運用されることからも、地元住民らは移設に反対している。
政府は北部訓練場の約半分の返還が実現すれば大幅な基地負担軽減になると強調。抗議活動が続いて資機材を搬入できない場合はヘリコプターなどを使って運ぶ考えを県に説明している。警備に当たるため警視庁など全国から機動隊員が数百人規模で動員されている。【佐藤敬一】