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■元広島市立大広島平和研究所長・浅井基文さん(75)

 オバマ米大統領の広島訪問が高く評価されていますが、広島演説には、プラハ演説から踏み出す内容はありませんでした。最近の報道によれば、オバマ氏は「核の先制不使用を含む核政策の重要な調整」を任期の最後に検討しているといいます。広島訪問で刺激を受け、「核なき世界」実現の初心に立ち返る衝動に駆られたのかもしれません。

 今回の広島訪問は、日米同盟の変遷の中で位置づける視点が必要です。どういうことか。日米同盟はブッシュ、オバマ両大統領の時代に非常に強化された。日本は集団的自衛権の行使を「合憲」とする閣議決定、続く安全保障関連法の制定により、米国に「おんぶに抱っこ」の関係から、米国の世界戦略に積極的に協力する「持ちつ持たれつ」の関係に変わりました。

 この日米同盟の変質を名実ともに盤石に仕上げるには、のどに刺さった2本のトゲを抜く必要があった。米国の原爆投下と、日本の真珠湾攻撃です。日米首脳による広島でのセレモニーによって、トゲが一つ取り除かれた。従って、安倍晋三首相の真珠湾訪問が最後のステップ。日米開戦の日の年末にかけて、大きな注目点になるでしょう。

 オバマ氏の核政策の再検討は共…

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