聞き手・花房吾早子
2016年7月25日10時50分
■俳優・演出家 加藤健一さん(66)
被爆70年の昨年、長崎の被爆者を描いた映画「母と暮(くら)せば」に出演しました。息子を原爆で失い、戦後は米軍の横流し品を売る男の役。陽気でサングラスなんかかけてね。架空の人物ですが、我が子を奪った米軍に取り入って商売する複雑さ。あの時代、生きるため仕方なかったんでしょう。
役作りのために長崎弁を教えてくれた女性は被爆者でした。連れて行ってもらった居酒屋の店主も被爆者。今では美しい景色の観光地に、たくさんの被爆者がいて傷痕が残っている。平和な時代に生まれ育った私には、想像できないくらい大きな出来事です。
東西冷戦で核戦争の緊張が高まった1980年代。核戦争で廃虚となった近未来が舞台の喜劇「寿歌(ほぎうた)」、自ら造った核シェルターに家族と閉じ込められる男の物語「ザ・シェルター」を上演しました。放射能が降ってくる恐怖をなんとなく漠然と感じていたんです。
それが2011年、福島の原発…
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朝日新聞社会部
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