韓国外交部(省に相当)の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官と中国の王毅・外相は24日夜、ラオスの首都ビエンチャンで開かれている東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会議の期間中に現地で会談を行った。会談で双方は在韓米軍に配備が決まった米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」や、南シナ海の島々に対する国際仲裁裁判所の決定など、両国の懸案全般について意見を交換した。中国は南シナ海問題で自分たちの意向に反する決定が下されたことを受け、韓国に対して中国の立場を支持するよう要請したようだ。一方の韓国はTHAAD配備が避けられない状況にあることを説明し、同時に国際社会による北朝鮮への制裁に協力を続けるよう中国側に強く求めたという。
昨年9月に中国で開催された戦勝節記念行事の際、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が天安門の上に姿を現したことに象徴されるように、両国では一時、韓国が米国・日本側から中国側に傾いたとする「中国傾斜論」が自信を持って語られていた。ところが蜜月とも言えるこの関係が、在韓米軍へのTHAAD配備によって一気に冷え込んでしまったのは事実だ。THAAD問題について王毅・外相は「いかなる弁解も通じない」と脅迫しており、また中国の国営メディアも人的・経済的な報復をあからさまに主張している。これに対して韓国では自国の決定に口を挟む中国に対し「主権の侵害」といった言葉で反発する声が上がっている。
公開はされていないが、今回の外相会談でもおそらく中国側から同じような不満が出たはずだ。しかしTHAAD配備は北朝鮮の核兵器とミサイル攻撃にさらされた韓国にとって、どこまでも防衛政策の主権に関わる選択であり、この原則は変わりようがない。もし今後この原則が見直されるようでは、韓国政府は韓国の政府とは言えなくなるだろう。