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【きょうの人】
「GT-R」のエンジンを手組みする「匠」候補 日産自動車横浜工場の大竹由希子さん「いつかは自分の名前入りのエンジンを」
GT-Rが570馬力の高性能を発揮するため、匠は機械では難しい部品がなじんだ後の誤差も先読みするなど卓越した能力が求められる。いまは100部品程度の組み立てを任せられるが、「ボルト締めなど手先を使う作業が遅い。先輩よりも早く次の工程に移れるようになるのが目標です」と努力を続ける。
匠には担当したエンジンに名前入りのプレートを張る特権が与えられる。女性初の匠になり、「いつか自分のプレートを張りたい」。(会田聡)
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日産自動車の高級スポーツ車「GT-R」のエンジンを手で組み立てる熟練技能者「匠」。平成19年の発売当時から匠を務める黒沢工さん(55)に話を聞いた。
--匠の仕事は
「普通のエンジンはラインの工程ごとに担当者を割り当て部品を付けるが、匠はまず中核のブロックを電動の台車に乗せて1人で部品を付けていく。ボルトを締め付ける作業のほか、部品間の隙間などを計測して調整する。隙間の計測は少しずれると油漏れなどにつながるので、気を使う作業だ」
--機械組みの代わりに、手間も時間も掛かる手組みをする理由は
「バルブクリアランスという部品間の隙間を図る作業は、100分の1ミリ単位で行っている。計測用の工具を隙間に入れた際の摩擦で確認するが、同じ100分の1ミリでも1・5に近いのか、2・5に近いかは手の感覚じゃないと分からない。計測を2回やるとなじむ部分も先読みするのが機械では難しい部分だ。普通の車種ならば規格も広いので誤差の範囲の違いだが、GT-Rは究極を狙っている」
--わずかな違いを走りに差はでるか
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