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【ロシアドーピング不正】
IOCが全面除外見送り ドーピング問題、各競技連盟に一任
【モスクワ=遠藤良介】ロシアの国ぐるみのドーピング違反問題で、国際オリンピック委員会(IOC)は24日、電話による緊急理事会を開き、リオデジャネイロ五輪からロシアを全面除外する処分を見送ることを決めた。出場の可否は各国際競技連盟(IF)の判断に委ねる。IFがロシア選手の出場を認める場合、過去にドーピング違反歴がないことや、信用できる国外検査をクリアすることなど厳しい条件を付けた。出場を受け付けた選手には、追加の競技外検査も義務付けた。IOCのバッハ会長は電話会見で「国全体の責任か個人の正義かの判断でバランスを重視した」と語った。
世界反ドーピング機関(WADA)の調査チームは18日、2014年ソチ五輪などでスポーツ省が主導してロシア選手の禁止薬物使用を隠蔽(いんぺい)し、夏季五輪の20競技も対象だったと断定。WADAは、リオ五輪からロシアの除外を検討するようにIOCに勧告した。
IOCは19日の緊急電話理事会で協議したが、潔白な選手の権利を侵害する可能性があることから結論を先送りにした。21日にロシア陸上チームの五輪参加禁止がスポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定で確定。国際パラリンピック委員会(IPC)も同国の資格停止に向けた手続きを開始した。
IOCは今回、スポーツ大国との亀裂を生むリスクを回避したが、ドーピング撲滅を掲げながら、国ぐるみの不正に厳罰を科せなかった姿勢は議論を呼びそうだ。