世界中で増加するテレワーカー
世界のほとんどの国では今も、会社に出勤して働くのが主流である。「フルタイム」勤務で、理想の形は正社員、という従来からのモデルである。労働力を企業の大切な資源と考えれば、社業の発展のために会社が労働者にそのような雇用条件で働いてもらいたいと考えるのは当然のことだ。
しかしながら、ここに大きな変化の波が押し寄せてきている。近年、企業に見られる変革は「労働の形」の変化であり、具体的に言うと「テレワーク(在宅勤務)」と呼ばれるものである。
これは「会社で働いている姿を実際に見せることが、労働契約をきちんと履行している証明となる」という従来の概念を覆すものだ。例えば米国の民間企業では、週に1日以上の割合で在宅勤務する労働者が40%近くに達している。また、通信会社iPassによるとロシア、アルゼンチン、サウジアラビアといった国々でも週に1日以上の割合で在宅勤務するテレワーカーが40%を占め、南アフリカやインドではそれが実に80%以上にまで達しているという。
これが人材マネジメントのスタイルにも一石を投じている。過去一世紀にわたって築いてきたリーダーシップのあり方、社員コントロールのメカニズムに、テレワークが影響を与えることは確実といえる。