マレーシアとインドネシアのボルネオ島(カリマンタン島)だけに生息する希少な爬虫類「ボルネオミミナシオオトカゲ」が違法に持ち出され、日本など海外で広く売られているとして、マレーシア政府が25日までに、ワシントン条約に基づく国際取引の禁止を提案した。9月末から南アフリカで開く同条約の締約国会議で議論される。
現地では捕獲や販売が禁止されているが、いったん海外に持ち出されると取引を止める手段がないのが実態。提案では静岡県の動物園にいる個体の起源が不明な点など、具体例を挙げて取引が横行していると指摘。絶滅を防ぐため取引禁止による保護が必要だと訴えた。会議では日本にも厳しい目が注がれそうだ。
体長30~40センチで「幻のトカゲ」とも呼ばれる。マレーシア政府や野生生物取引監視団体トラフィックによると、2012年に日本の愛好家向け雑誌に日本人がマレーシアでこのトカゲを見つけたことが紹介され、日本やドイツ、ウクライナなどでの飼育や販売例がその後目立つようになった。
日本ではつがいが300万円で売られたほか、昨年12月にはワシントン条約の対象種になる見通しだとうたって1匹39万8千円で売っている例もあった。静岡県河津町の動物園「iZoo(イズー)」が人工ふ化に世界で初めて成功したと発表するなど飼育を公表しているケースもある。
マレーシア政府は「マレーシア、インドネシア、ブルネイの3カ国で保護の対象で正式な輸出を認めたことはない」として、海外の個体はほぼすべて違法な持ち出しだと強調。iZooの例も「(親になった)個体の起源には疑問の余地がある」と指摘した。iZooは取材に対し「マレーシアやドイツから正式の手続きで輸入した。ワシントン条約の対象ではないので輸入に制限はない」と説明している。〔共同〕