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米国のセキュリテイ企業には,国防総省(DoD)や陸海空軍に所属していたり,これらの組織と密に仕事をしてきたセキュリティエキスパートたちが立ち上げたスタートアップが数多く存在する。
ニューヨークに本拠を構えるAsuured Information Security(AIS)もそうしたスタートアップのひとつで,米空軍研究所(Air Force Research Laboratory's Information Directorate)でサイバーオペレーションにまつわるあらゆる業務をこなしてきたメンバーたちが2001年に創業した。現在では連邦政府のサイバーオペレーション業務に関わるほか,空軍で培ったセキュリティの知見を製品やサービスとして一般企業に提供することをミッションとしている。
そのAISが6月30日(米国時間),同社が開発したLinux対応ハイパーバイザ「Bareflank 1.0.0」をオープンソースとして公開した。ライセンスはLGPL v2.1。ハイパーバイザとしてシンプルで軽量でセキュア,かつ多くのOSをサポートすることを目指している。
- GitHub - Bareflank/hypervisor: lightweight hypervisor
Bareflankの最大の特徴はC++で書かれている点だ。この理由についてAISは「C++の標準ライブラリ(STL)を使えるようにするため」としている。これによりポインタやハッシュテーブル,マップ,リストといったデータ構造などを共有することが容易になる。
オープンソースのハイパーバイザのほとんどはCで書かれているが,そのためにSTLが提供するような機能を利用するにはユーザ側が修正や機能追加を行う必要がある。ハッシュテーブルの呼び出すコール関数ひとつ書くにも,STLが使えるのと使えないのではその手間が大きく異なってくるが,Bareflankではユーザがハイパーバイザを使う際の負荷を極力削減することをゴールとしている。
もうひとつ,Bareflankが目指しているのは「あらゆるタイプのハイパーバイザの機能を含む」ことだ。ハイバーバイザには大きくXenのようなネイティブ型(Type 1)とVirtualBoxのようなホスト型(Type 2)があるが,Bareflankはその両方をサポートするとしている。ユーザが自由にハイパーバイザを拡張し,独自のハイパーバイザを作成することも可能になるという。
もっとも現時点でBareflankがサポートするのはIntel系の64ビットLinux(Ubuntu 14.04/16.04,Debian Stretch,Fedora 23)のみ,ハイパーバイザとしてはベアメタル型のサポートのみだ(Windowsサポートは実験段階)。AISは段階的に機能を拡充していくとしており,年内にもアップデートバージョン(1.1)をリリースする予定だという。