交流サイトに偽情報 容疑者がおびき出しか
【ミュンヘン(ドイツ南部)三木幸治】ドイツ南部ミュンヘンで起きた銃乱射事件で、自殺した容疑者のイランとドイツの二重国籍の男(18)が他人の交流サイト「フェイスブック」を乗っ取り、現場に若者らをおびき出すための書き込みをした可能性があることが分かった。また、地元警察によると、男は昨年夏から銃乱射事件を計画していたという。男には精神疾患歴があり、警察は慎重に動機を調べている。
警察によると、死亡した9人のうち7人は10代。フェイスブックには少女名で、現場のファストフード店で商品の値引きがあるといううそのメッセージが投稿された。男が少女のアカウントに不正アクセスし書き込んだと見られている。
男の自宅からは、ドイツ南部の学校で2009年、当時17歳の少年が生徒ら15人を射殺した事件や、ノルウェーで11年に男が77人を殺害した連続テロ事件について書かれた本が見つかった。男は両事件の容疑者を「称賛していた」という。
地元警察は24日に記者会見。男が約1年前、09年の事件現場となった学校を訪れ、その後、今回の乱射事件の計画に取りかかったと明らかにした。男がインターネット上の「闇市場」のサイトにアクセスし、今回の事件で使用した銃を購入した証拠もみつかった。
また男は「他人と接触することへの恐れ」があり昨年、入院や通院治療を受けた。男が学校でいじめを受けていたとの報道もある。
一方、乱射事件の現場の一つのショッピングセンターでは23日夕、警察の規制線の一部が解除され、犠牲になった若者らを追悼する人々が絶えなかった。
アルバニア人の清掃業、アモビルド・チェラさん(38)は事件当日、現場の向かいのバス停で容疑者を目撃。息子を抱え逃げた。その後、店内で娘の友人(14)が容疑者に撃たれたことを聞いたといい、「恐ろしくて言葉にできない。理解できない」と繰り返した。
現場には、追悼のメッセージや被害者との思い出の写真が張られたボードもあった。メッセージの中には「事件の責任は、政府の積極的な外交政策にある」と独政府の難民受け入れを暗に非難するものもあった。
難民・移民にドイツ語などを教えているエルケ・ドレスマンさん(54)は「必死にドイツに溶け込もうとしている難民らに事件が影響を与えないことを願っている」と話し、キャンドルをともした。