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【宮家邦彦のWorld Watch】南シナ海めぐる裁定、国際法の分かる常務委員がいなかった 中国の「音痴」ぶりは悲劇的だ

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【宮家邦彦のWorld Watch】
南シナ海めぐる裁定、国際法の分かる常務委員がいなかった 中国の「音痴」ぶりは悲劇的だ

南シナ海をめぐる仲裁裁判所の判断を報じる13日付の中国各紙 (共同) 南シナ海をめぐる仲裁裁判所の判断を報じる13日付の中国各紙 (共同)

 先週は珍しく「国際法」に世間の耳目が集まった。13日付主要紙が1面トップで、オランダ・ハーグの仲裁裁判所が中国の主張を退けたことを詳しく報じたからだ。

 ●南シナ海中国支配認めず

 ●初の国際司法判断

 ●仲裁裁「九段線 根拠なし」

 こんな見出しで始まる記事には国連海洋法条約、領海、排他的経済水域、大陸棚、低潮高地といった専門用語が躍る。筆者の女房は、「今日の記事は最初の5行読んだだけで頭が痛くなった」とぼやいていた。今回の「判決文」は全体で500ページもあるが、結論は明快だ。

 中国は南シナ海の大半が「古代からの中国の領土」であり、そこに中国は「疑う余地のない主権」があると主張してきた。これにフィリピンが異を唱え国連海洋法条約に基づく仲裁手続きを始めたのは2013年1月。過去3年半に中国は南シナ海で実効支配する岩礁を埋め立てて「人工島」を造った。明らかに既成事実を積み重ねるためだ。

 それでも今回、仲裁裁判所の判断はフィリピン側主張をほぼ認めた。要するに「中国が南シナ海で主張する歴史的権利に法的根拠はない」ということだ。対する中国政府は「フィリピンが一方的に申し立てた仲裁は国際法違反であり、仲裁裁判所は管轄権を持たないので、中国はこれを受け入れず、認めない」と宣言した。外務省報道官も「判断は紙くずであり拘束力はなく無効だ」と強く反発した。

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