東京都知事選出馬を取り下げた、元日弁連会長宇都宮健児氏(69)が23日、都内で討論会「18歳からわかる!東京都知事選挙」を開催した。

 会では、同氏が通信添削の解答用紙に、指導者が赤線でミスを修整する“赤ペン先生”ばりに、各候補者の政策に赤ペンでチェックを入れた選挙公報が初公開された。

 「公表したのは今回が初めて。主要何候補かに限っては、やっていましたけど、他の方もすばらしい政策。なるほどというところもある」と話した。

 自身の政策について、鳥越俊太郎氏が生かしているかと聞かれると「福祉の問題は、かなり取り入れられているのでは。築地市場の問題の見直しを言われているようで、東京外郭環状道路(外環道)とオスプレイも反対と言われている」と話した。鳥越氏から応援演説の要請があったかと聞かれると「直接、僕にはない。選対に近い人がいますから、要請がきているとは聞いた」と答えた。

 ただ要請があった場合の対応については「選対で決めるが、前回は結論が出なかった。とりわけ、ああいう週刊誌の報道もありましたから、そういうのを踏まえて、どう対応するか」と、「週刊文春」が報じた鳥越氏の女性疑惑が影響していると話した。

 疑惑について、どう思うかと聞かれると「それを言うのは、あまり…ノーコメントで」と明言を避けた。

 都知事選の中間地点での印象については「福祉の重視は、どの候補も取り上げている。今度の候補は(都知事に)なったら、待機児童の問題とか取り組まないと総すかんを食らうんじゃないですかね。それくらい争点になっている」と各候補に注文を付けた。

 その上で「各候補が自分なりに考え、保育所や介護施設に行ったり、東照宮に行ったり、アピールされようとしているのは分かりますが、全体的な政策が、同じことを言っているように映る面がある」と苦言も呈した。

 指摘した問題の解決策として「有権者の違いが分かるようにするには、本当はテレビで討論会、クロストークを、もっとたくさんやられた方が(政策の)違いも分かるし人間性も出てくる。有権者にたくさん見せることができた方がいい。告示後はそんなに行われていない。日本は制度的な担保がない」と提案した。

 選挙公報をチェックして、関心を持ったこととしては、江戸城の天守閣の復元を主張している候補が2人いたことを挙げた。「私が最初に出馬した時は、神奈川県知事をやられた松沢さんも出ていらっしゃって、『最重要課題はなんですか』と言った時に、江戸城の天守閣の復元を挙げられた。それが主要課題ですか? とビックリしたんですが、今回の21候補に2人も掲げられている。それなりに期待される都民も多いのかなと思ったりしました」と苦笑した。