去年の暮に「2016年の投資戦略」について語りました。ここに書くことは、その繰り返しです。

その際、今年は、米国株、南米などの新興国株はオーバーウエイト、日本株はアンダーウエイトと考えていると主張しました。その考えに変更はありません。

セクターではテクノロジー、バイオはアンダーウエイトを主張しました。いまでもそう考えています。

逆に工業、素材、エネルギー、穀物はオーバーウエイトを主張しました。これは今も変更ありません。

米国株式市場については年間+8%程度の上昇を見込んでいると言いました。いまのところ、そのペースで来ていると思います。

ドル/円はドル安になると主張しました。その根拠は、FRBが過去に利上げに転じた時、

1972年4月=302円→1年後は263円
1977年7月=264円→1年後195円
1982年1月=225円→1年後232円
1983年6月=240円→1年後231円
1987年4月=147円→1年後124円
1994年1月=110円→1年後100円
1999年2月=112円→1年後107円
2005年11月=116円→1年後117円

と、大体、ドル安になっていたからです。

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「今年はドル安になる」という考えは、ベクトルとしては正しかったのですが、実際には自分が考えているよりもっとドラマチックな円高が来てしまいました。

ドル安局面では新興国経済は息を吹き返します。ドル安局面ではアメリカの投資家は新興国株式にも積極投資します。それが南米株に強気の理由です。

またドル建てで取引されているゴールドや石油はドル安になると反発しやすいです。これがゴールドや石油株に強気な理由です。これは、今も変更ありません。

日本株は円高になってしまうと苦しくなるので、今年は避けたいと主張しました。この考えに変更はありません。

テクノロジーをアンダーウエイトする理由は、利上げ局面ではPEマルチプル・コントラクションが起きやすいからです。今年は未だ利上げは無いけれど、そろそろ心配する必要があると思います。

バイオやヘルスケアは大統領選挙戦に絡めて薬価の問題が争点となるので嫌気されると思います。このへんのセクターは、避けています。

工業、素材、エネルギー株をオーバーウエイトする理由は、景気がしっかりしていて、金利が上昇しはじめている局面では経験則的にそれらのセクターのパフォーマンスが良くなることが知られているからです。

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大統領選挙の年、S&P500はどう動いたか?ですが、下のグラフは過去の大統領選挙の年の起点を1として、その年の株価の動きを指数化したものです。それを1972年以降、全部足し上げ、11で割算した結果を示しました。

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大体、1年を通じて、しっかりの展開であることがわかります。強いて言えば、8月から9月にかけてラリーが見られる点が目を引きます。例年みられる秋の株価の調整が、普通より後にずれている、言い換えれば9月が高値になっている点に注目してください。また10月・11月にかけての調整も浅いです。今年も大体、こういう展開になると思われます。