Jリーグが動画配信大手の英パフォームグループと結んだ放映権契約は、国内のスポーツ界では過去最大の10年総額2100億円という金額になった。パフォーム・インベストメント・ジャパンの最高経営責任者(CEO)と、同グループ全体の動画配信のCEOを兼ねるジェームズ・ラシュトン氏に、大型契約の狙いや今後の戦略について聞いた。
■ダ・ゾーン、3000円より安価で
――世界に先駆けて日本で始めるスポーツ中継サービス「DAZN(ダ・ゾーン)」では、JリーグのほかにバレーボールのVリーグや、総合格闘技のUFCの放送を発表している。海外サッカーやテニス、野球、ラグビーなどの放送も予定しているが、1つの料金を払うだけで全てのコンテンツを見ることができるのか。
「日本のスポーツファンに、シンプルで素晴らしいサービスを提供する。全てのスポーツが、同じ定額サービスの中で見られるようになる。日本では年間6000試合のスポーツを放送する予定だ」
――料金はどれくらいになるのか。ソフトバンクが今年始めたスポーツ中継サービス「スポナビライブ」は月額3000円(ソフトバンクの携帯の契約者は500円)に設定している。
「日本の既存の有料テレビも、スポナビライブと似たような料金になっている。ダ・ゾーンは3000円という数字よりも魅力的な料金になるだろう」
「価格は重要だが、いかに多くのスポーツを見られるようにするかが大事だ。現在、日本のスポーツファンは、3つのスポーツイベントを見るために3つの有料テレビに月3000円ずつ支払い、合計で9000円を負担することもある。これはスポーツファンにとってありがたい状況ではない。ダ・ゾーンを通して日本のスポーツファンに全てのスポーツのコンテンツを提供し、その心をつかみたい」
■10年間という長期契約に大きな意味
――Jリーグとの契約で莫大な金額を投資するが、どうやって利益を出すのか。
「パフォームはダ・ゾーンに登録した人からの利用料だけで収入を稼ぐという、とてもシンプルなビジネスモデルを取る。ダ・ゾーンには広告も入らないが、利用料だけで十分に費用をカバーできると思っている。(世界的には)音楽定額配信のスポティファイや、動画配信大手のネットフリックスが成功している。スポーツファンの方が音楽ファンより情熱を持っていると思うから、スポーツで同様のサービスが成功しない理由がない」
「新しいサービスが普及するには時間がかかる。だから、Jリーグという素晴らしいパートナーと10年間という長期的な契約ができたのは非常に大きな意味がある。10年の間に、従来の有料テレビより我々のサービスの方が素晴らしいということを説明し、消費者に知ってもらわなければいけない。私の哲学はとてもシンプル。素晴らしいコンテンツと映像があれば、加入者を獲得できる」