NNNドキュメント

番組詳細説明（表題）

避難計画で原発やめました
　違いは何だ？伊方と米・ショアハム

番組詳細説明（内容）

【見どころ】
こんな避難計画では命を守れない！と廃炉になったアメリカの原発がある。ショアハム原発だ。間もなく再稼働する伊方原発と似た、細長い島の真ん中に建設された。だが原発からメインの避難道路までは16キロ、一方、伊方原発はわずか1キロと至近距離。しかも、そこを通り住民を避難させるバスは運転手が1ミリ以上被ばくする場合は出さないという協定が県と結ばれている。福島の様に爆発などで汚染が急速に進んだら伊方町民は一体…

【内容】
熊本地震が収束しない中で、伊方原発を再稼働させる現状について、淡々と
事実を示して課題点をえぐる。とくに南海トラフや中央構造線の直近に立ち、福島の事故原因も究明されていない中での再稼働に矛盾はないか焦点を当てる。
一方で、同じような立地のアメリカ・ショアハム原発では、避難計画に実現性がないという事から反対運動が起こり、ついに使われることなく廃炉になった。ショアハムとの違いは一体何か？伊方原発再稼働目前のこの日に考える。


新規制基準に合格した伊方原発が7月末に再稼動する見通しだ。原発より佐田岬半島の先に住む5000人の避難計画は非常に実現性のないものだ。バスや自家用車による脱出が主流だが、原発より先の住民はバスで原発の敷地から僅か600メートル、再稼動される３号機から１キロの地点を通って逃げるしかないという計画だ。漁船やフェリーでの脱出も検討されているが、原発事故は地震などとの複合災害である事が想定されており、津波が港湾を襲えば避難計画は絵に描いた餅だ。また、30キロ圏内は基本屋内待避となっているが、先日の熊本
地震で、地震後は倒壊の危険性が高く、屋外待避をせざるを得なかった事は
記憶に新しい。また、震度７が立て続けに起き、耐震住宅ですら2度目の震度７で次々に倒壊した。こうした中、再稼動に合格を与える新規制基準は、震度７が２度も発生するような地震は想定していないが、新たな基準を作りチェックしなくて大丈夫なのか？

アメリカには、避難計画の実効性がなく住民が避難できないと地元自治体が反対する事で、建設したものの使われることなく廃炉となった原発がある。
ニューヨーク州ロングアイランド（細長い島）の中程に建っているショアハム原発だ。細長い佐田岬半島に建つ伊方原発と似た立地だ。過酷事故が起きると原発より先に住む住人が避難できないという事で、電力会社が策定した避難計画では、原発より先に住む住民が逃げるには原発から10マイル＝16キロ内を通る幹線道路を使わなければならなかった。決定的だったのはやはり住民と州政府＝州知事の反対だった。結局住民はショアハム原発の建設費などの損失を、向こう３０年電気代に上乗せして払う事で、政治決着として運転開始前に廃炉を勝ち取ったのだ。比較して伊方原発の避難路は原子炉から１キロ、圧倒的に近いし、メインとなる避難路はそれ一本しかない。

実はスリーマイルアイランド事故で一番大きく変わったのは、避難計画の
策定とその計画でちゃんと逃げられるのか？だった。アメリカ原子力規制庁
ＮＲＣのヤツコ元委員長に聞いた。事故後、原発外の避難計画の実効性は
ＦＥＭＡという連邦緊急事態管理庁が判断することになった。実際に誘導・
道路閉鎖など具体的に何キロ以内は何分で避難できるか等、避難計の実効性をFEMAが認可して初めて、ＮＲＣが原発運転のライセンスを与える事が出来ることにしたのだと言う。だが振り返って日本。避難計画は再稼動の法的要因
ではない。また規制庁マターではなく、内閣府マター。避難計画の具体的な
内容はすべて地元自治体まかせ。それは伊方原発だけでなく、川内原発も高浜原発も一緒だ。きちんと住民と地元政府が反対の声を上げ、脱原発を勝ち取ったアメリカの実例と照らし合わせながら、日本の原発について、再稼働についてどうあるべきなのかを考える。