1. コーセーの化粧品「雪肌精」の公式ツイッターは15日、広告キャラクターを務める女優の新垣結衣のポスターの瞳にカメラマンらスタッフが映り込むミスがあったと謝罪しました。
2. きっかけは13日、ある男性がポスターの瞳にカメラマンや扇風機を持ったスタッフが写り込んでいるとTwitterに書き込んだこと。このツイートは一気に拡散しました。
確かにポスターの瞳にはシルエットが写っています
3. 15日には「雪肌精」公式アカウントが写り込みを謝罪
4. ところが、モデルの瞳に写真家や照明が写り込むのは当たり前であると、プロカメラマンやデザイナーから「雪肌精」の謝罪に対し、困惑の声が上がりました。
モデルの瞳に写真家やレフが写り込むのは、業務上の過失でもなんでもなく、当たり前のこと。過去の広告ポスターや雑誌表紙などのモデルの瞳を拡大したら大概確認できる。これを過失として詫びたら、世界中の写真家、広告、出版関係者は大迷惑だよ。 https://t.co/deu8dGLkRs
— ほうとうひろし (@HiroshiHootoo)
7. 実際に瞳への写り込みはよくあることなのでしょうか。広告写真の専門誌「コマーシャル・フォト」に話を聞きました。
「カメラマンはモデルの前に立っていますので、瞳に写ってしまうことは当然よくあります」とBuzzFeedの取材に同誌の編集者は答えます。
通常カメラマンは写り込んでも目立たないように、黒目に溶け込むような黒い服を着ることが多いそうです。
「新垣さんのポスターは、新垣さんの自然な美しさを出している印象です。過度なレタッチをしない中で、修正ミスが起こったのではないでしょうか」(コマーシャル・フォト編集者)
また雑誌を中心に活動するカメラマンによれば「グラビア誌やファッション誌ではカメラマンが写っているのは日常茶飯事。ただ雑誌サイズでは特に目立つことはありません」といいます。
8. ポスターを担当したコーセーの宣伝担当にも話を聞きました。
謝罪は過剰反応、と言われていますが「ポスターサイズであるにも関わらず、修正していなかったのはミス。商業写真ですし、レタッチするのが当たり前。お叱りの声もありましたので謝罪しました」と謝罪の意図を説明します。
コーセーでは広告を外部発注ではなく、社内で制作しており、ガッキーの瞳に写っていた人物が同社のスタッフだったことも謝罪の理由の一つ。
雑誌などでカメラマンの写り込みが日常的にあることは理解しつつも、自社のミスに対する謝罪であり「写り込みを否定するものではないことはご理解いただければと思います」とコメントしました。
9. 写り込みには写真の”教材”としての側面もあります
例えば、この瞳。照明はアンブレラを使ったのかな?と想像できます。
「瞳を見て、ライトの数や配置などライティングの設定、フラッシュの炊き方の参考にしてます」とは若手カメラマン。
瞳の中の光(アイキャッチ)を入れるための照明にも、アンブレラやソフトボックス、レフ版などさまざまあり、写真の奥深さを感じさせます。
10. BuzzFeedでは、ガッキーの写真をSNSに最初に投稿したAさんにも取材しました。
Aさんは写真展などを訪れる写真好き。瞳への写り込みも以前から知っていて「撮影の舞台裏を垣間見れるために、ささやかに楽しんでいました」と言います。
ポスター写真も否定的な意図はなく「ガッキーの瞳に扇風機が映り込むギャップが面白い」と感じて投稿したところ、思わぬ反応があり困惑したそうです。
11. 写真のレタッチはいまや簡単ではありますが、モデルの瞳すべてを修正してしまっては、写真の面白さも消えてしまいます
今回の騒動に目くじらをたてるのではなく、ポスターの瞳に注目し、写真に秘められたドラマに触れてみるのも面白いかもしれません。
なによりポスターは、修正なしでガッキーの瞳はあれだけ綺麗という証明でもあります。