・「普段から」・「メイクしない君が」・「薄化粧した朝」・「始まりと終わりの狭間で」・「忘れぬ約束した」・「花束を君に贈ろう」・「愛しい人愛しい人」
終戦から1年以上がたっても復興は進まず人々の生活は苦しいままでした
(花山)我々が雑誌を届けたいのは今ここにいる我々と同じ庶民だ。
私が見てたもん横から取るんじゃないよ!買うまではあんたのもんじゃないだろ!何だって?金もないくせにガタガタ言うんじゃないよ!だったら私が頂くよ。
あっちょっと!まず戦うべきはこれかもしれんな。
(常子)戦う?
(花山)我々は雑誌を通して暮らしを変えようとしているんだ。
立派な戦いじゃないか。
ええ。
まずは衣服と戦わんか?賛成です。
(君子)まさかあのおてんば常子が社長さんだなんて。
フフッ。
ウフフ。
胸を張って社長とは言えません。
早くも資金不足ですから。
(美子)だったらすぐにでも…。
いい加減な本を出す方が苦しむ事になると思う。
(鞠子)私たちは花山さんが創刊号の目玉企画を思いつくのを待つしかないの?でもお一人で考えたいそうだから…。
何をすれば衣料品不足を解消できるのか考えてみようと思う。
君は社長としていつでも出版できるよう準備をしてくれ。
そんなある日…
ごめんください。
あら綾さん。
(綾)少し…お金を貸してもらえないかしら?家賃を値上げされて困ってるの。
お願いします。
綾さんがお金を貸してほしいと。
あなたが働いて稼いだお金なのよ。
好きに使っていいの。
ありがとうございます。
(ノック)はい。
(水田)あ…こんにちは。
こんにちは。
あの…。
僕をこちらで雇って頂けませんか?今闇市で働いていますがいずれ閉鎖されるでしょうからほかの仕事を探していたんです。
そしたら皆さんが新しい雑誌を作ると聞いてしかも暮らしを豊かにする雑誌だって…。
少しでもお役に立てれば…くらいですけど。
お願いできませんか?浪漫浪漫…。
常子は綾にお金を渡そうと仕事場を訪ねますが…
カフェー。
ここな訳ないか…。
今日はありがとうございました。
またのお越しをお待ちしております。
今日は楽しかったよ。
またね。
また来て下さいね。
心配かけてごめんなさい。
だけど母と太一が生きていくためには働かなくてはいけないの。
あっ。
これ少ないけどよかったら使って。
ありがとう。
必ず返します。
そして翌日
女学生時代の友人が働いていると聞いて行ってみたらそこがカフェーで…。
ほう。
それでどうだった?えっ?格好だよ。
カフェーに行ったんだろ?女給はどんな服を着ていた?いや会いには行きましたけどそんな店内までは…。
友達には会ったんだろ?服は自前か?新品か?私その子の事で頭がいっぱいで服を見る余裕なんてそんな…。
なんて君は愚かなんだ!えっ?分からんのか?君は絶好の機会を無駄にしたんだぞ!機会?君は社長でもあるが編集者だ。
どこにネタが転がっているか分からない。
常に取材する気持ちで生きるべきだ!すみません。
明日にでも彼女たちに話を聞いてきたまえ!私がですか?できれば花山さんも一緒に…。
私は洋裁学校に取材に行く事になっている。
えっでも私一人では…。
暇な編集者がそこに2人いるだろう。
(2人)えっ?よろしくお願いします。
(2人)よろしくお願いします。
(梢)あんたらもいいとこの子か。
(お蝶)雑誌作ってるなんて余裕がなきゃできないだろうさ。
余裕はありませんが女の人の役に立つ雑誌を作ろうと奮闘している次第です。
(梢)へえ〜。
洋服の作り方が載ってるのかい。
(さくら)婦人雑誌作りたいなら男に聞いた方がいいんじゃないかしら。
えっ?婦人雑誌なんて名ばかりで男が男に都合よく作ったものだもの。
「殿方の喜ぶ献立」とか「殿方に好まれるおもてなし」とか男から見た女の記事だよね。
私たちの雑誌はそうではありません。
女の人の役に立つように…。
同じだよこれも。
確かにこんな洋服着てみたいとは思ったけど私らには手の届かないもんだ。
そんな事ありません。
雑誌では自分の手で洋服が…。
一体何で作れっていうの?家にある布地なんてとっくに米に換わってます。
服が欲しい気持ちは切実だけど手に入るかどうかは別問題。
女の人の役に立つ雑誌って言ったって私らには実際役に立ってないんだよ。
新しい雑誌をねえ。
雑誌の名前も出版社の名前もいまだ決まっていないのですが。
何だかうさんくさいけど会社を銀座に構えておいでのようなので信用致しましょう。
恐れ入ります。
こちらにとっても悪い話ではないですからね。
我が校を雑誌で紹介して下さるなんて。
お約束はできません。
あくまでも面白ければ載せるという事で。
どういう事?取材を受けても掲載されないの?その可能性はあります。
じゃあさっさと済ませて下さる?こちらの学校の特色を挙げるなら何でしょうか?「我が校では高級仕立ての洋服作りに対応できる技術を教えています。
海外からの服飾事情もいち早く取り入れておりますので是非ご入学下さい」。
これで書いてちょうだい。
(花山)どうりで授業料も高い訳だ。
(節子)我が校ではフランスの高級ファッションを参考に立体裁断や我が校独自の型紙と仮縫いで一人一人の体型に合った技術を教えています。
どうしたもんじゃろのぉ…。
ねえとと姉。
水田さんの事なんだけど。
うん。
経理で迎えられないかな?えっ?水田さん一緒に雑誌作りたいって言ってくれたの。
申し訳ないけど今うちも余裕がなくて…。
鞠ちゃんもしかして水田さんの事…。
あっ全然全然!そうじゃないの!いい方なのは分かるからもし力になれるならと思っただけ。
企画を考え続けていた花山は…
(三枝子)はいできました。
(茜)お父さん見て。
お〜。
(花山)おはようございます!分かったんだ。
えっ?簡単に作れる洋服ですか?ああ!型紙は使わないんですか?これじゃまるで着物じゃないですか。
黙って見ていろ。
(花山)2枚の布地を縫い合わせる。
つながった布地を二つに折って腕を通す分だけ余白を作って両脇を縫い合わせる。
(花山)これが直線裁ちだ。
布を直線に切るだけなので型紙も要らないし布地の無駄も出ない。
1反の布地からワンピースなら3着分も作れる。
布地を直線に縫うだけなので難しい技術もいらないし夏物なら2時間もあれば完成する。
簡単でかつ無駄のないこの直線裁ちがこの国の衣服不足に役立つと思うんだ。
和服で洋服を作るんだよ!これで創刊号の目玉企画が決まりましたね。
じゃあ試着品をたくさん作ってこの絵を雑誌に載せて…。
(花山)愚か者!載せるのは絵ではなく写真だ!写真を載せるとなるとお金が…。
それは君がなんとかする問題だ。
金は雑誌が売れればいいだろう。
売れない事を考えて作るやつがあるか。
分かりました。
じゃあいくぞ!はい!
なんと写真のモデルを常子たちがする事に
(シャッター音)
(花山)我々が作る雑誌は庶民のための雑誌だ。
雑誌を手に取ってもらっても写真に写るモデルが明らかに自分の住む世界と違う人だったら着ている服に共感してもらえないだろう。
常子さん。
いいかい?はい。
どうかな?かわいらしい。
これを表紙にしてみないか?驚くのは分かる。
女性誌の表紙なら普通きれいな女の人の写真かイラストだからね。
だが…。
いいですね花山さん。
私たちが目指す豊かな暮らしがここにあるような気がします。
「この中のいくつかはすぐあなたの暮しに役立ちこの中のいくつかはすぐには役に立たないように見えてやがていつの日かあなたの暮し方を変えてしまうかもしれない。
そんなふうにいつでもこの一冊はあなたの暮しによりそって息づいている」。
それを前書きとして載せたいんだが。
いいですね。
それでは…。
雑誌のタイトルをこれにしてみませんか。
あなたの暮し…?はい。
社名も「あなたの暮し出版」というのはいかがでしょう。
忙しくなるな。
この雑誌は売れる!はい。
発売された「あなたの暮し」は売り上げを順調に伸ばし直線裁ちの服もブームとなりました
この調子なら目標だった1万部売れるかな?ん〜だいぶ現実味を帯びてきたと思う。
目標は1万じゃないぞ。
「あなたの暮し」がいずれ目指すのは100万部だ!えっ?
(君子)どうしてそんなにお詳しいんですの?服の事もそうですし随所に女性らしい視点をお持ちなのも不思議で。
母の影響ですかね。
母が亡くなったのは私が中学の頃です。
以来私は長兄として兄弟たちを食べさせ母の代わりをしてきました。
その時にいつも母が生きていたらどうしただろうと考えて行動してきたんです。
かか兄ちゃんだ。
父親代わりのお姉ちゃんはとと姉ちゃんでしょ?母親代わりの兄はかか兄ちゃん。
じゃあ常子が「とと姉ちゃん」で…。
花山さんが「かか兄ちゃん」。
アハハハハ!何だかいい組み合わせね。
いたいたあの方よ。
(花山)あっ小山内校長。
花山さんこれはどういう事ですの?この直線裁ちは許せません!洋裁の技術がいらないなんてうたわれてはたまったものじゃないの。
あなたうちの学校を潰すおつもり?この出版社の社長は私です!苦情があるなら私におっしゃって下さい。
社長?あなたが?…そう。
ならばあなたに伺うわ。
今後も直線裁ちを提唱して洋裁学校の営業を妨害するおつもり?営業を妨害するつもりはありません。
そして余裕のない生活を送る方々に洋服の作り方を届ける事をやめるつもりもありません。
そうですか。
またお会いしましょう。
ハハ。
洋裁学校があんなにムキになるという事はそれほどこの直線裁ちが脅威だという事だ。
脅威ですか?看過できぬほど直線裁ちはよいものだという事だよ。
そう…そうですよね。
(ノック)どうぞ。
失礼します。
ん?今度講座を開いてみませんか?講座?はい。
希望者を集めて直線裁ちでの洋服の作り方を花山さんが直接指導するんです。
感心はしないな。
直線裁ちの作り方なら雑誌で十分に伝えてある。
なぜ講座が必要だと思うんだ?お金と話題のためです。
ほう…。
講座の受講料が入れば次号をより充実させられるかと。
社長は君だ。
任せるよ。
これ全部?そう受講希望者。
しかし開始時間を過ぎても受講者は一人も現れませんでした
あらあら何これ?誰もいないじゃない。
中止になったのかしら。
どうしてこちらに?我々日の出洋裁学校の授業の参考にさせて頂ければと参りましたの。
ええ…。
中止ではないんですが…。
誰もいないんじゃやる意味ないですもんねえ。
ねえ?アハハハハ!やだ〜。
もう残念ですが帰ります。
また講座をやる時は呼んで下さい。
私はあなたたちの唯一のファンなんですから。
では。
恐らく彼女の仕業だな。
講座を妨害するために大量の葉書を一度に出して席を押さえたんじゃないか?そんな…。
自分たちの学校を守るためにこんなにひどい事をしたっていうんですか?皆食うに困れば何にでもなる。
非難する事はできん。
恨むならこの時代を恨め。
常子さん。
社長として今後の糧にしなさい。
少し舞い上がっていたんじゃないか?欲をかいては足をすくわれるぞ。
生字幕放送でお伝えします2016/07/24(日) 11:00〜11:20
NHK総合1・神戸
とと姉ちゃん 一週間 第16週「“あなたの暮し”誕生す」[字]
常子(高畑充希)と花山(唐沢寿明)の雑誌は布地も技術もない女性たちの悩みに応える洋服作りを特集に。花山の序文から常子は雑誌のタイトル“あなたの暮し”を思いつく。
詳細情報
番組内容
常子(高畑充希)と花山(唐沢寿明)の女性のための雑誌は、まず衣服を取り扱うことにする。鞠子(相楽樹)や美子(杉咲花)らと準備を進め、出版社の体裁が整う。カフェで働く綾(阿部純子)たちの「布地も技術もない」という声に、行き詰まりを感じたものの、ふとしたことで花山が画期的なアイデアを思いつき、すてきな洋服が載る。花山の、読者の生活への思いをこめた序文から、常子は雑誌のタイトル“あなたの暮し”を思いつく
出演者
【出演】高畑充希,木村多江,相楽樹,杉咲花,唐沢寿明,伊藤淳史,阿部純子
原作・脚本
【作】西田征史
音楽
【音楽】遠藤浩二
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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