ブックマークコメントでは何度か書いていますが、ブログに書いたことはなかったかな?
枕として きまや (id:kimaya)さんのエントリーに乗っからせてもらいますが、一般論のつもりで、きまや さんのケースを特定して対象とする意図ではありません。
まず、特定商取引法というのがあって、電話勧誘においては、契約する意思がないことを示した相手を再勧誘することは禁止されています。
(2) 再勧誘の禁止(法第17条)
特定商取引法は、事業者が電話勧誘を行った際、契約等を締結しない意思を表示した者に対する勧誘の継続や再勧誘を禁止しています。
http://www.no-trouble.go.jp/search/what/P0204008.html より
話は少しずれますが、「再勧誘の禁止」は訪問販売(法第3条の2)、訪問購入(法第58条の6 第2項、第3項)に対しても定められています。それぞれ一読をお勧めします。
きやま さんのエントリーでは、コールセンターに電話したところ、特定のためとして氏名と電話番号の提供を求められたとのことでした。
個人情報の提供を求める際には、その目的の明示が義務付けられています。
個人情報保護法に関しては、個人情報保護委員会のHPで公開されている、このパンフレットがわかりやすいです。
マネー報道著者 (id:MoneyReport)さん作成の「ピピっとPDF」を使わせていただきました。ありがとうございます。
個人情報保護法は昨年の9月に改正されており、それに基づく新パンフレットも公開されています。しかし新パンフレットは改正内容の説明が主で、個人の権利と業者の義務に関しては上掲の旧パンフレットの方がわかりやすいので、主に旧パンフレットに基づき説明します。
個人情報取扱事業者は、個人情報の提示を求めるにあたって、その目的を明示する必要があります。また目的外の利用は禁止されています(法第15・16条、旧パンフレットP5)。
さらに、本人からの求めがあれば、保有する個人データを開示しなければなりません。データの内容に誤りのあるときは、本人からの求めに応じて訂正等を行わなければなりません。もし違法な扱いを行っている場合には、利用の停止等を求めることができます(法第24・27条、旧パンフレットP6)。
個人情報の取り扱いに関する苦情の受付に関しては、個人情報取扱事業者が窓口を設置し、苦情処理手順の策定など必要な体制の整備に努める義務を負っています(法第30条、旧パンフレットP6)。
つまり、まず苦情を申し立てる相手は個人情報取扱事業者たる企業です。もしそれでトラブルが解決しなかった場合の相談窓口は、消費生活センターや国民生活センターになります(特定商取引法ガイドHP「消費者トラブルに関するご相談」および個人情報保護法新パンフレットP7)。
ただし消費生活センターは、個人と業者の間で中立的な立場からトラブルの解決をはかるという建前のせいか、訳あって私が電話した時は「腰が重いな」という印象をぬぐえませんでした。それでも特定商取引法ガイドHPのトップを見ると、処分された業者の一覧が公開されているので、全然仕事をしていないということではなさそうです。消費生活センター、国民生活センターへの電話は、最後の手段ならぬ最初の手段くらいに考えておいた方がよさそうです。最後の手段というのは裁判です。
日本は法治国家であり、我々の権利は法律によって守られています。しかし、いざ我々の権利が違法に侵害されたときに、侵害された権利を法律に基づいて回復することは、法律の専門家ならぬ身には容易なことではありません。それでもしつこい電話勧誘を受けた時には「特定商取引法第17条に基づいて再勧誘の停止を求めます」(訪問販売であれば第3条、押し買いであれば第58条)くらいは言ってやるべきだと思います。もしそれで効果がなければ、ためらわずに消費生活センターか国民生活センターに電話すべきです。