イラン核合意から1年 制裁解除の効果は限定的

イラン核合意から1年 制裁解除の効果は限定的
イランが核開発を制限する見返りに欧米などが経済制裁を解除するとした最終的な合意から今月14日で1年となりました。イランと欧米などとの経済関係の修復が期待されましたが、ミサイル開発などに対する別の経済制裁が続く影響で思うように進んでいません。
経済制裁の解除をきっかけに、油田開発に外国からの投資を呼び込みたいイラン政府はふだん、報道機関の立ち入りを厳しく制限している中東最大級の規模を誇る油田、「アザデガン油田」をNHKに公開しました。
東京23区の面積の1.5倍という広大な油田地帯には、日本の輸入量の20年分が眠っているとされ、その価値は、現在の原油価格で1兆ドルにも上ります。
高度な技術を持つ外国企業を積極的に呼び込んで生産力を上げ、豊富な原油を経済再建の起爆剤にしたい考えです。
しかし、イランでは今、制裁解除の効果が思うように表れておらず、期待よりも、むしろ不満が高まっています。
イランの主要な輸出品の1つ、特産のじゅうたんを生産する会社では、制裁前、ドル箱市場だったアメリカへの輸出再開を心待ちにしていました。
しかし、核開発に関連する経済制裁は解除されたものの、アメリカがミサイル開発などに対する、別の独自制裁を今も続けているため、イランとアメリカの間の銀行取引ができないなど、制裁解除の効果は限定的となっています。
こうした状況にイランの最高指導者ハメネイ師は制裁解除は名ばかりだと、アメリカへの強い不信感をあらわにしています。
イランとアメリカの関係改善に道を開くと期待された核合意でしたが、むしろ不安定さを増しながら1年の節目を迎えています。