田原市小中山町で奈良、平安時代の貝塚遺跡が見つかった。海水から塩を作る製塩土器の破片や漁労用の重りなども出土した。この時代の貝塚は県内では珍しい。調査主体の市教委は23日午前11時から現地説明会を開く。
 発見された貝塚は約千三百〜千百年前の遺跡とみられ、現場の地名を取って「八幡上貝塚」と名付けられた。縦横約五メートルで広さ二十五平方メートル。アサリやハマグリ、バイガイなどの大量の貝殻が出土し、身を食べた後に廃棄したとみられる。
 貝殻のほか、煮炊きに使われる須恵器や土師(はじ)器の破片も見つかった。土器の種類や形状から市教委は貝塚が奈良、平安期の遺構とみられると結論づけた。
 市教委によると、市内には三十五カ所の貝塚があり、縄文時代が六カ所、弥生から平安時代までが二十五カ所、鎌倉時代以降が四カ所。うち奈良、平安期と時代を限定できるのは八幡上貝塚のみという。
 現場で貝層が見つかったことから、市教委は七月から本格的な発掘調査に着手。月末まで調査を続け、来年三月までに報告書を作成する。
 現場は小中山保育園のそば。説明会は約三十分間で、調査を担当した市教委文化財課の清水俊輝さん(24)が出土品を手に解説する。申し込み不要。小雨決行。(問)同課=0531(27)8604

 (角野峻也)