仲裁裁判所の裁定を、中国側は「ただの紙くずだ」(戴秉国前国務委員)、「政治的茶番だ」(王毅外相)などと激しく批判している。言語道断だ。裁定の受け入れと国際法の遵守は当たり前だ。世界各国が求めていることだ。
モンゴルで開かれたアジア欧州会議(ASEM)首脳会議は16日、開き直る中国を念頭に、「国際法の原則の完全な遵守」や「海洋の安全保障」などを再確認し、国連海洋法条約に従った紛争解決の重要性に合意する議長声明を採択して閉幕した。
英紙フィナンシャル・タイムズが、中国が裁定を無視すれば「国際ルールを嘲弄(ちょうろう)する無法者」と書いたが、その通りだ。このまま、南シナ海の岩礁の軍事基地化を放置・推進すれば、中国は無法国家というしかない。
外務省関係者がいう。
「仲裁裁判所での敗北は致命的だ。習氏や中国は大恥をかいた。ASEMに併せて、安倍晋三首相と中国の李克強首相との首脳会談も行われた。安倍首相が裁定の受け入れを要請したところ、李氏は『言動を慎め。干渉するな』と声を震わせて反論した。異様だ。しかもASEM対策に失敗、失脚の噂まである。中国は孤立した。暴走する危険がある」
こうしたなか、看過できない重大情報が飛び込んできた。
「8月、尖閣周辺で日中軍事衝突の危機がある」という情報だ。以下、複数の米情報当局、米軍関係者から得た情報だ。
「中国は裁定直前まで、南シナ海で約100隻の軍艦と航空機などによる空前の軍事演習を行った。軍事力で各国を恫喝して黙らせる狙いだった。だが、米軍は空母打撃群を派遣。海上封鎖を含めた南シナ海戦闘計画を完了した。中国は『米国には絶対勝てない』と確信し、水面下で態度を変えている」