前回「星野源」編は、正解イラストが似ないという、歴史的惨敗であった。
が、しぶとくつづける決心を固めたこの企画、今回は第5回をお送りする。
これは、私、石岡ショウエイが読者の方からお題を頂戴し、うろ覚えの記憶を頼りに、著名人の似顔絵イラストに挑戦するもの。
題して「見ないで似顔絵大会 in 自室でひとり」
マツコ・デラックスを初回として、奥田民生、リリー・フランキー×吉田鋼太郎、星野源とつづけてきたが、今回は「鈴木福」
初の子どもである。
子どもらしくないのが特徴の、子ども。おっさんのような、子ども。
おっさんのような、おっさん、にならないように気をつけねば。
鈴木福(すずき ふく、2004年6月17日 - )子役タレント
2011年のドラマ『マルモのおきて』が高視聴率を記録し、芦田愛菜と歌った主題歌『マル・マル・モリ・モリ!』も話題となった。
2014年には「コロコロコミック」10月号の応募懸賞に当選し、念願の『妖怪ウォッチ レジェンドメダル6枚セット』を手に入れた。同雑誌の懸賞当選欄に名前が掲載されていたことから、ツイッターなどで話題に上がっていた。
どうやら中身は、しっかりと子どものようである。なんだか安心した。
あれっ、いまはもう12歳か・・・、けっこうでかい。なんだか不安になってきた。記憶にあるのは『マル・マル・モリ・モリ!』のころの姿なので、描くのも当時の姿になるだろう。
【第5回 見ないで描いてみよう大会】お題:鈴木福
【1】おっさんじゃない、子ども!
自分に言い聞かせながらシルエットを描く。
かなり丸みのある輪郭。首は細く、肩幅は狭く。目の高さは低めに設定。
うん、この時点では、まごう事なき子どもである。 お菓子買ってあげよか?
【2】子どもの目の位置は、高さは低くて、配置は離れぎみにすべき。
だがここで、鈴木福ならではの「おっさんくささ」を出す必要性を感じた。寄りぎみに考えておこう。ただし大きさは、子どもらしく大きめで。
鼻は無難に。口は、小さめのをしっかり結んでおこうかな。
いいねえ。これはなかなか期待できそうだ。星野源での汚名返上が果たせるかも。
【3】ファッションは、ごくラフなもの、もしくは、お坊ちゃん、のイメージがある。
蝶ネクタイをつけてみよう。フォーマルな衣装を、「大人に着せられてる感」たっぷりに醸し出してほしい。
鈴木福は、「子どもなんだから子どもらしくしてろよ」という大人からの圧力と戦いながら生きてきた。
本当は、お前らより人生経験豊富なんだぜ? 抱いた女の数は数知れず。定期的な性病検査も欠かさない。
【4】髪と眉を置いてみる。
髪は、フォーマルな服装に合わせて、きっちり横分け。
眉毛は太くて短いイメージ。しかし強気な感じを発してほしくないので、角度は下がり目で。
お、鈴木福に似てきたかはわからんが、おっさんのような子ども、にはなっているようだ。名門小学校に通うお坊ちゃま。ハイソな習い事を週に五回。
大人に、「好きな子とかいるの?」とからかわれると、「そんなひま、ありませんから」とクールに返すが、内心、どきどきしている。
最近、クラスに気になる子がいる。名は愛菜、ものすごく貧乏なうちの子だ。消しゴムを消滅するまで使い切る人間を初めて見た。
【5】おっさんくささと子供っぽさを両方、強調してみようか。
福耳にしつつ、ほっぺたをぷっくり。
うおっ、金持ちの坊ちゃん感、がすごく上がった。
絶対に爺やがいるな。黒塗りの外車で送り迎えをしてもらってる。
不動産業を営む父が、あらたな都市計画のため、ある区画の住民に強制立ち退きを迫っているという。しかしそこは、愛菜の家がある場所なのだった。
「父さん、やめてください。あの家は、愛菜のお父さんが愛菜に残した、唯一の思い出なんです!」
【6】目。くりっとしてる。黒目の割合がかなり大きい印象。
方向性は間違っていないのだが、妙な貫禄がでてきた・・・。
有吉弘行に似てきた? そのせいか、子どもの心をすでに失ってそうに見える。これは妖怪メダルではしゃいだりしないなあ。
「父さん、あなたがそうでるなら、ぼくは愛菜のために、家を出ます!」
【7】ここまでを下絵として本線を入れていく。
大人を見上げる視線がほしいな。うつむき加減にしてみる。
眉をかなり下げて、なにかを訴えかける心情を表現しようか。
お、3歳くらい若返ったかも。黒目を入れてないのに、じとっとした感じが演技派を思わせる。
「父さん、ぼくは本気です。お金なんかなくたって、愛があれば生きていけるんです!」
【8】下絵をオフ。髪型、ここまできっちりじゃなかったかも。
『コドモ警察』ってドラマで石原裕次郎ばりのファッションをしていたイメージが強いのだが、ふだんはふつうの子役のはずだ。ふつうの髪型にしてみよう。
ぬおっ、一気に貧しくなった。正装の、「着せられてる感」がすごい。学芸会で漫才とかやりそう。
いや本当に貧乏くさくなってしまったな・・・。
「父さん、ぼくが間違ってました。世の中、金です。愛菜とは縁を切りました。いまごろ夜の街をさまよっていることでしょう。くっくっくっ」
【9】黒目を入れよう。
とにかく白目が小さく、黒目の占める割合が大きい。ややうるっとしてたかも。
くちびるは、もっとぷっくりと。
だれだお前は・・・。大人に媚びすぎだろ。捨て犬でもそこまでの目線は送ってこないぞ。
「父さん、家に入れてください! 靴でもなんでもなめますから!」
【10】鈴木福はどこに行ったんだ・・・。
アイラインは、アンダーもあったほうがいいのかな。
わからん。近づいたのか、遠のいたのか。
「父さん、ぼくを養子に出すって本当ですか? もう必要ないってことですか?」
【11】目の方向性が違うんだよなあ。目力が、もっと強いのかな。
福くん、まつげつけようか。
媚びがいっそう強くなった・・・。
そんな目をしても、爺やはなにもできませんぞ。お父上と、しっかり話しあうのでございます。
「父さん、養子の件、わかりました。ぼくはこれから、○○家の一員として生きていきます。いままでありがとうございました。もう、二度と会うことはないでしょう」
【12】まつげは違うようだね。かわりに、ほほに赤みをいれて子どもらしさを強めよう。
お、なんか緊張してるな。
「初めまして。鈴木福です。これから○○家の一員としてお世話になります」
【13】髪型を戻そう。大人びた感じはやっぱりほしい。ふだんはそうじゃなくても、あくまでもイメージの福田くんを描きたい。
福田くんってだれだ。鈴木くんだ。
うん、こっちのほうがしっくりくる。
「えっ、父さんが帰ってこいって? なにをいまさら。ぼくはもう○○家の人間なんです!」
【14】媚びるのをやめさせよう。彼は幼いころからしっかりしてる。
目のうるうるはなしで。
なんかえらい変化がでちゃったな。ダークサイドに落ちたか?
「えっ、父さんが・・・、死んだ・・・? 前から、もう長くないのはわかってたって? ぼくを鈴木家の跡取りと自覚させるためにきびしくしてただって? そ、そんな・・・」
【15】おっさんくささがどうも足りない。鼻のパーツを入れ替えてみる。
昭和っぽさをだせれば。
これはアリかも。
でももう一歩、鈴木福らしさが必要。どうしたらぼくらの鈴木福は帰ってきてくれるのだろうか。
「天国の父さん、ぼく、家を継ぐよ。まだ10歳だけど、この鈴木不動産を、立派に経営してみせます!」
【16】思いきって目をいじってみよう。
子どもらしさを保つためにデザインはそのままにしつつ、大人っぽさをだすために、サイズを縮小する。
これは! これは、鈴木福的な要素が強まったんじゃない?
少なくとも、私の中の鈴木福には近づいた気がする!
「あーあー、ごほん。諸君、ぼく・・・、いや、私が新社長の福である。やるからには、日本一の不動産王を目指す。しっかりついてくるように」
【17】眉の位置を下げて全体のバランスを調整しよう。
バランスが、子どもらしくなく、おっさんくさい、というややこしさを生む。
うん、これが限界かなあ。
「なに、事務職に新しい女を入れる? いいだろう、いい女だったら愛人にでもしてやるかな、くっくっくっ」
【18】色を入れましょう。肌の色は薄い感じ。
おっさんぽい子ども、というよりは、子どもっぽいおっさん、になってる気がするなあ。
「き、きみは・・・、愛菜!
会いたかったよ。ぼくは、きみと別れたことを心底後悔してたんだ。探したよ、向かいのホーム、路地裏の窓、こんなとこにいるはずもないのに・・・。
許してくれるのか? あ、ありがとう! さあおいで、ぼくの愛菜、ふたりでこの国を買い占めよう!」
【19】最後のあがき。口まわりにラインを入れて老けさせる。
なんか20歳くらい老けたかも・・・。
でもまあ、ここまで。鈴木福の雰囲気はでてる気がするのだが、似顔絵といえるほどの近似は示せなかった。
おかしいなあ、頭の中には鈴木福像は浮かんでいるのに、描写できるほどのリアリティがない。イメージってふしぎ。
「ぐわぁああああ! なっ、なにをする!・・・・・・いや、そうか、愛菜、きみは、こうするために、ここに来たんだね。お父様との思い出の土地を奪った鈴木一族に、復讐するために・・・。
いいんだ、泣かないでくれ愛菜。ぼくもいままでいろいろあって、見た目のとおり、ずいぶん長く生きてきたような気がする。そろそろ父の元に逝ってもいい頃合いだ。
向こうでも、土地を買い占め、あの世で一番の、豪邸を造って、待ってる・・・、よ・・・」(がくり)
鈴木福伝・完
はい、駄文はてきとうに切り上げてと。
自己採点は42点。
正解を準備します。
【20】正解。
あれぇええええ!?
鈴木福、思ったより老けてない! おっさんぽくない!
けっこうイケメンじゃないか。妻夫木聡にも似てるかもしれない。
鈴木福って、おっさんぽいというのが世間のイメージじゃなかったっけ? それは内面的なこと?
あと、子役のイメージにありがちなことだが、予想以上にデカくなってた。子どもから、すでに「少年」になっている。昭和のスター感アリ。
いやあ・・・、よその子とゴーヤは育つのが早いねえ。
【21】正解との比較検討
うーん、苦笑。雰囲気はそこそこ出てた気がしてたんだけどなあ。
安倍首相に似てるかも・・・。安倍首相を「コロコロコミック」あたりの漫画にだすとしたら、な感じ。決めゼリフは、「解散!(学級会の)」
◆『鈴木福の描き方』ポイントまとめ
・輪郭はややもっちり。
・眉毛は太めで、水平から尻だけ下げる。
・目は黒目の割合がかなり大きく、ややセンター寄り。
・口はほほ笑みで結んだほうが雰囲気がでる。
このあたりに気をつけて描けば・・・
はい、鈴木福くんご登場! となるかも。
あくまでも、『マル・マル・モリ・モリ!』のころのイメージ。現状に合わせるなら、また別のポイントを押さえるべきだろう。
ということで、「第5回 見ないで似顔絵大会 お題:鈴木福」は、まあ、星野源編にくらべたら、健闘したといえるかな。
いやあ、似顔絵って、本当に難しいものですね。
第6回のお題もゆるく募集しております。
過去の開催模様はこちら。
◆第1回 マツコ・デラックス編
◆第2回 奥田民生編
◆第3回 リリー・フランキー×吉田鋼太郎編
◆第4回 星野源
連載ゆる四コマ×2!
『まぐねっこ』(by 五郎)
◆その18
犬。
・・・・・・犬?
『ペットボトルくん』(by ショウエイ)
◆その49
次回、ついに50回到達!
おまけ
じつはつい先日、誕生日だったのですが、『ペットボトルくん』のファンアートをいただいてしまいました。
リアル!
漫画家あるある:『ファンのほうが、絵がうまい』
精進します!