キャンプ準備編からいきなり、夜、である。川のせせらぎ、星の音。キャンドルランタンの小さな灯りで缶ビールとバターピーナツ。
焚火したかった。今年から禁止になった。でも、いい。群青色の夜空に瞬く星たち。川からのつめたい風が、木々の間を抜ける。
幸せである。チキンラーメンとハムとチーズのサンドイッチとコーンスープで、腹一杯。昨日までの暑さが嘘だったかのような涼。
昼間、歩き回って汗をかいたシャツが冷えて乾いた。普段のような、思考、空想、妄想はなく、
キャンドルランタンの火が
すべての世界のように感じる。
キャンドルランタンの、小さな火が照らす、小さな世界が、今の僕の全てなのだった。
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