ちょっと昼休み入りまーす。
ん？おう。君も休憩か？
｢あ、企画課の課長。お疲れさまです。｣
えーと。確か魔術斑の…
山上兄弟！
｢山下です…。｣
そうそう！山下の…
｢兄です。｣
お兄ちゃんね！
分かってたよ。
最近どうよ？新人はいったんだろ？
僕らは『命』を食べて生きている - ホーサクっ
- [食物連鎖]
できたら悪の組織で、魔術班が伝えたいと思います。よかですか？
2016/07/17 20:14
｢はい。とても優秀なんですよ。｣
あーやっぱりね。
すごい魔法を使いそうだもんね。
｢先日も現場で、昼なのに空を夜みたいに真っ暗にして…｣
すごいね！なんかすごい魔法発動？
｢はい！彼、すごいんですよ！都会なのに空を星でいっぱいにして輝かせたんですよ！｣
は？
｢さらに地面は一面にお花を咲かせたんです！とても幻想的でしたね！｣
え？
｢とてもきれいでみんな見取れていましたよ！あれだけの星空とお花畑を魔法で生み出せるなんて凄すぎますよ！吸い込まれそうな空だったんですよ！｣
いやいや。そーゆーのいる？
もっとこう、周囲を火の海にするとか、洪水で押し流すとかさ。
そういうのが悪の魔法使いの醍醐味じゃね？
｢何言ってるんですか！あんな都会で辺り一面を星空とお花畑にするなんて、ものすごいスキルですよ！｣
いやいや。スキルすごくても仕事で成果あげなきゃ意味ないでしょうが。
｢成果ですか？課長はロマンチックさが足りませんね。｣
いやいや。世界征服にはロマンはいるけどロマンチックはいらないから。
｢でも、すごくキレイな星空だったのに、そのあと星が全部落ちてきたんですよ。現場に駆けつけたヒーローと建物他全部、クレーターに変わっちゃったんですよ。そこがちょっとまだまだかな。彼も。｣
は？
｢落ちてくるシーンは素敵だったんですけどねー。終わり方が今一つでしたね。そこら中クレーターだらけで美しくなかったです。ま、恥ずかしい限りですが僕の指導不足です。｣
指導いらんわ！
十分な成果じゃん！
めちゃめちゃすごいやん！
ヒーローは？どうなった？やったのか？
｢知りません。生きてるんじゃないですか？あいつら頑丈だし。｣
まぁ頑丈だからな。あいつら。
｢ま、その時、本家のアジトも一部壊してしまいましたけどね。｣
！
午後からの保険会社との打ち合わせはソレか！
なんで請負賠責保険使う稟議が出てるのかと思ったら！
お前らの仕業だったのか！
免責50万円はお前らの部署予算から引いとくからな！
｢あ、課長、保険も担当でしたか…。｣
しかし、魔法ってすごいなぁ。
私も使えるようにならない？
｢無理ですね。｣
…即答かよ。
いやいや私は戦闘力5万だよ？
魔法くらいちょっと練習したらいけるんじゃね？
｢無理ですね。｣
断定的だな…。
なんでだよ！
私も魔法使いたい！
｢課長、アレでしょ？ジブリ見ないでしょ。｣
ジブリ？
見たことくらいあるよ！
娘と見たよ！
それと魔法になんの関係が…
｢課長、サツキとメイがトトロにくっつくの見て、
うわートトロ絶対臭いわ。俺だったら絶対顔つけるの無理。獣臭ハンパないやろ！絶対口臭いわアイツ。
って娘さんと奥さんの前で言うタイプでしょ？｣
な、なんで知ってるんだ？
確かに言った。
奥さんにものっそ冷たい目で見られた。
｢ラピュタ見て
ポムじいさんちょっとイタい。近所にいるとどうお付き合いしたらいいか困るよな？
とか、奥さんに聞いちゃうタイプでしょ？｣
な、なぜ分かる？
これが魔法？
｢そういう夢とロマンチックさがない人には魔法は無理ですね。課長は、お金、数字、成果、アウトプットとか、ロジカルシンキングとかフレームワークとかいつまでも大人みたいなこと言ってるからダメなんですよ。絶対、魔法は無理ですね。｣
じゃあ他のみんなも無理じゃん！
悪の組織だし、成果主義だし！
エビスなんて絶対に無理だろ！アイツ現実路線だし！
｢何言ってるんですか。エビス将軍はロマンチックですよ！仕事に夢見てるんですから！｣
ええ…。
｢モスコーミュール先輩もなかなかの才能ですよ。童貞ですし。｣
ええ…。二つの意味でショックだわ。
ふん！別に魔法なんていらないから！
一昔前ならまだしも今や魔法なんて時代遅れ！
昔は鏡で拠点間通信してたけど今はSkypeあるし！
幻術だってプロジェクションマッピングで十分！
偵察だってドローンがあるし！
召喚魔法もポケモンGOがあるし！
魔法なんて時代遅れじゃん！
｢確かに、魔法は一時、廃れました。洞窟で鍋掻き回してた先達は技術を共有せず、ITに取って代わられました。｣
ほらみろ！
｢しかし！我々の世代は違います！ITは我々と競合しません！むしろ我々の武器です！技術は魔法使いの為のSNS、魔術師.comで共有し、次々と新しい術式を開発し、学んでいます！｣
｢新人の魔法だって昔は星の位置や花を咲かせる位置は長い呪文が必要でした。今やGPSで簡単に割り出せる！しかも専用アプリもある！我々はITを活用して進歩しています！｣
｢課長、最近、電球交換やプリンターの紙詰まりで呼ばれなくなったでしょう？｣
そ、そういえば最近減った気が…。
｢フフフ。我々ならわざわざ脚立を倉庫に取りに行く必要もなく、ふわりと浮いて交換できます。紙詰まりも紙をテレポートさせることができるのです。｣
す、すごい。。。
｢我々、魔法使いは多能工化しているのです。今まで通り、現場での活躍はそのままに！待機時間や隙間時間もムダにすることがない魔法使い！それが我々の生き残り方です。スペシャリストでありながらゼネラリストでもある。これが今の魔法使いですよ。課長。｣
進歩してるんだな。魔法も。
ご、ごめんよ。バカにするつもりはなかったんだ…。
自分だけ使えないのが悔しくて…。
｢課長。まずは現実から目を逸らしましょう。現実から逃げてください。｣
うん。そうする。そうするよ！
私も頑張って現実から目を背けてみせるよ！
以下現実を忘れられるブログです。
オチが出てこないや…。
素敵なサクッと読めるファンタジー
イラストとたまに現実的なアドバイスが来る
わりと現実
皆様、いつもありがとうございます。
オチがなくて申し訳ありませんがたまにはこんな時もありますよね。