*星空文庫

人類の選択

金傅桐和 作

人類の選択

未確認飛行物体はいつも忽然と姿を表し、上空を漂うと何もせず消えてしまう。
しかし私はそれに対してもどかしさを感じ、いらいらする等は一切なかった。
彼らを相手に思い通りにいかないのは当たり前の事であり、ただ眺める事しか出来ないからかも知れない。
だからこそ、彼らについて知ろうとする行為は常に人類の優位性を保とうとする瀬戸際で行わざるを得ない。
度が過ぎると彼らの存在自体を否定しにかかる訳だが、それは全くもって愚の骨頂である。
彼らの存在根拠を論じる事は人類の存在理由を否定する事に繋がるからだ。
零地点、スタートラインを彼らは暗示している。人類の場合、そこにあるのは当然生命への歓喜の筈である。
零地点は何もないのではなく、あくまでベクトルを持った起点を意味する。
であるならば、例によって、人類のある種紋切り型な解釈の枠に当て嵌めて考える事をするだろう。
つまりは、人類の存亡、繁栄、衰退は他ならぬ人類に委ねられているのである。

『人類の選択』

『人類の選択』 金傅桐和 作

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 時代・歴史
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2016-07-22
Copyrighted

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