第24回参議院議員選挙の投開票が10日に行われた。改選議員として選挙に臨み3選を果たした民進党の白眞勲議員。選挙直後の現在の気持ちと、3期目への意気込みを語った。 (インタビュー=康敬瓚)
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1958年生まれ。85年、日本大学大学院生産工学研究科博士前期課程建築工学専攻修了。85年、朝鮮日報日本支社入社。94年、支社長就任。04年、参議院議員選挙で初当選。10年、再選。12年、野田内閣で内閣府副大臣。16年7月、3選。 |
「拉致被害者全員の帰国を1日も早く実現する」
――参院選を終えていかがですか。
「今の日本は危ない。白さんなんとかしてくれ」。演説で各地をまわり国民の声を直接聞かせてもらった。このような声に耳を傾けないといけないと改めて考えさせられた。メディアで参院選が取り上げられることはほとんどなかったように感じている。過去経験したなかでも最も静かな選挙という印象であった。メディアの関心が参院選後の東京都知事選であったこともその理由のひとつではないのか。日本の報道の自由度が年々悪化していることも合わせて、非常に危惧している。
――民進党とっては厳しい選挙結果であった。その原因はなにか。
発信力不足を痛感している。例えば「給付付き税額控除」を、「税金キャッシュバック法案」という言い方にするだけで、非常に分かりやすいのではないか。このような情報発信の手段・方法が自民党などに比べ非常にわかりにくかった。民主党から民進党に変わったことに関する発信も足りなかったと感じている。また「国民との距離感」をどう縮めていくかという従来の課題も解決できていない。選挙結果を踏まえ、早期に変えていかなければならない。
――”発信”という点で、メディア出身の白議員ができることは多いのではないか。
3期目は党の発信力の強化に関わる仕事もしていきたいと考えている。
――2期目を振り返って、成果と課題は。
北朝鮮による日本人拉致被害者に関する再調査を働きかけてきた。政権は変わったが結果として再調査が行われて良かったと考えている。従軍慰安婦問題に関しても、日韓議員連盟の担当として、韓国の議員とのあいだで合意を導き出すことができた。それが、昨年末の日韓の妥結につながったと考えている。また、内閣府副大臣のときに中小企業に関連する金融の円滑化に関連する仕事を頑張ってきた。例えば地方の銀行に対して、企業に融資をすることはもちろん、中小企業がもっていないノウハウを提供することなどを積極的に行ってもらえるよう働きかけてきた。
――拉致問題ではなかなか進展がみられていない。
そのとおりだ。現状を打開するためにはなにより、情報収集力が必要不可欠だ。日韓の連携強化はいうまでもない。そしてロシアの存在も重要だ。日韓中そしてロシアが連携をとることで、北朝鮮を取り巻く状況は変わるのではないか。今後も、最終目標である拉致被害者全員帰国を1日も早く実現するために取り組んでいく。
――今後の韓日関係に必要なものはなにか。
相互理解が重要であると考えている。メディアに影響されることなく、人と人との交流が進んでいけば自ずとそうなると思う。また議員としては両国の議員同士のコミュニケーション不足を痛感している。以前であれば、日本語ができる韓国の国会議員が多くいたこともあり、良好な日韓関係に大きく貢献していた。時代の流れという側面もありしかたがないかもしれないが、それを埋めるためにも、交流する機会を増やしていきたい。
――在日同胞へのメッセージを。
私は永住外国人の地方参政権を諦めていない。今後もその実現のために信念をもって取り組んでいく。ヘイトスピーチのようなことを行う日本人もいれば、私に一票を投じてくれる日本人も多くいる。その日本人の一票一票が日韓に対する、そして在日韓国人に対する思いの表れではないだろうか。今後も信念をもってさらなる日韓友好を目指していく。 |